レグザブランドの存在感

 店頭で東芝製のメーンボードを採用していることをアピールするなど(1ページ目の写真参照)、ドンキ側にも「販促につながる」との色気はあっただろう。ただ、局所的とはいえ熱狂的なレグザファンを中心に「注目を集め過ぎた」というのが本音ではないだろうか。

 言い換えれば、国内にはレグザブランドや東芝ブランドが依然として強いということだ。振り返れば、地デジの買い替え需要に沸いていた00年代後半、東芝のテレビ事業はかなり異質な存在だった。当時は主力部品であるディスプレーを内製する垂直統合型のビジネスモデルが主流。パナソニックやシャープ、韓国サムスン電子と合弁事業を進めていたソニーに対し、大手の中では東芝がディスプレー事業を持たなかった。

 当時の東芝が取っていた戦略は、ディスプレーではなく画像処理による高画質化の追求や、新聞に近いテレビ番組表の表示など使い勝手の改善、そしてゲームモードの導入など多岐にわたっていた。自社製のディスプレーを持たないがゆえに、他社とは違う土俵で戦おうとしていたわけだ。

 「ニッチを重ねればマスになる」。当時、東芝のテレビ事業の企画担当者は自社の戦略をこう評していた。つまり、100人のうち1人しか買わない機能でもそれがどうしても欲しい人には東芝一択になるというもの。そのニッチな機能を積み重ねることで一定のシェアになる(マスになる)というわけだ。「異端」ともいえる当時の戦略で、一時期は国内シェア2位になったこともあった。

 ただ粉飾決算発覚以降は、東芝はテレビ事業で新機軸を打ち出せていない。中国美的集団に売却された白物家電とは異なり、テレビ事業は今もグループ内で手掛けている。コアなファンの支持を集めてブランド力を磨いてきたのは確かだが、今や話題になるのは他社製のテレビだけというのでは、せっかくのブランド力を生かし切れていないと言えるだろう。