パーチ(止まり木の意)と呼ばれるスペースではお菓子や飲み物が買える。はさみやホチキスなど各部署で共有している備品もここに置かれており、社員が自然と集まりやすい仕組みになっている。こうした共有スペースは旧本社に比べて2倍になった。ある社員は「仕事ではあまり話すような機会がないような他部署の人との会話が増えた」と話す。部署ごとに部屋が分かれていた旧本社では起こらない現象だ。

社員位置検索システムで後輩と再会?!

 少人数の企業であればともかく、約800人が働くオフィスでグループアドレス制を導入すると、誰がどこにいるのかわかりにくいという問題がある。そこで、パナソニックが提供する社員位置情報システムを取り入れた。各フロアにある端末が、社員の持つスマートフォン(スマホ)の位置を検知。パソコンやスマホで探したい人を検索するとマップ上に居場所が表示される仕組みだ。

 試しに三菱地所で働いている、記者の大学時代の後輩を検索してもらうと見事に発見。数年ぶりの再会を果たせた。

 実験の成果は着実に表れている。グループアドレス制になったことで、社員は荷物を極力減らすようになった。紙で保存している資料の量は旧本社時代に比べて7割減った。パーチを活用した備品の共有などの取り組みで、備品の発注量も6割削減されコストを抑える効果も出ている。

 社内で実施されたアンケートでは、ほとんどの社員が「偶発的なコミュニケーションが増えた」「会議が効率化されたと思う」と答えたという。リモートワークでは起こりえない、オフィスで働くという形だからこそ生まれる効果だ。