小早川社長が重視する取り組みは社内風土の変革だ。「縦割りや閉鎖性を打破して開かれた組織を作る」、「自らの頭と手を使いやり遂げる。現地現物経営に転換する」、「プロジェクト完遂型の人材を作る」など、小早川社長の発言からは、事故後6年が経過しても残る保守的な風土を何とか改善したいとの意欲がにじむ。

 ただ、風土改革以外の部分では小早川社長の口は変わらず重く、川村会長の踏み込んだ発言が目立った。たとえば原発の位置づけについて問われた川村会長は「事故の危険性は重々承知しているが、日本に原子力は必要だ」と明言し、その理由をとうとうと語った。また「原発は国の役割ではないかという見方もある。(国と)一緒にやろうとは考えていないが、そういう考え方もあることは承知している」と、原子力事業をめぐる国と企業との役割を再定義するような発言まで飛び出した。

 川村会長は経済産業省の東京電力改革・1F問題委員会の委員を務め、国から同社改革の陣頭指揮を執るよう請われた人物だ。もともと改革を目的に落下傘で東電入りしているため、踏み込んだ発言もしやすい立場にある。一方、東電生え抜きの小早川社長は営業畑を長く歩み、若くして社長に抜擢されている。グループ全体の事業構造やその詳細にまで踏み込んで戦略を語るにはまだ時間が足らず、現段階では慎重な物言いに終始せざるを得なかったのかもしれない。

求められているのは剛腕経営者

 だが1回目、2回目ともに、小早川社長の発言や立ち振る舞いには物足りなさが残るのも事実。川村会長の存在感ばかりが際立っては社内の士気に関わるだろうし、睨みも効かせられないだろう。