雑貨の品ぞろえにも工夫が見られる。都心のドラッグストアにおいてある衣料品といえば、女性向けのパンティストッキングぐらい。だが、ビビオンには3足1000円(税別)の靴下があり、首元を日焼けしないための綿のカバーなども揃う。

ビビオンには、オリジナルのネイルサロンを併設。一方で、3足1000円(税別)の靴下なども売っていて、ウエルシアらしさが漂う

 だが意外にも男性客が多い。店から出てきた40代男性に話を聞くと、「ちょっとした薬や栄養ドリンクを買いたいときに、ドラッグストアは役に立つ。女性向けの店なのかもしれないが、入りづらさは感じない」と話す。

 そして、店全体から感じられるのは落ち着いた雰囲気だ。記者の印象ではあるが、米国のシカゴなどの都心で入った大手ドラッグストア「ウォルグリーン」に似ていると感じた。調剤のコーナーがあり、日本のドラッグストアに多い元気な音楽は流れておらず、派手な声掛けもない。シンプルなサービスを売りにしていて、顧客ターゲットをその地域で働く人、近隣のホテルに宿泊する観光客のどちらに寄せることもなく、自然に溶け込んでいる店だ。

 店を眺めながらふと気になったのは、日本橋という観光客も訪れる一等地なのに、「爆買い」を意識した店構えになっていない点だ。免税をアピールする派手な看板はなく、旅行客がお土産で大量に購入しそうなフェイスパックや薬などを集めたコーナーもない。ウエルシアHDの池野隆光会長は日経ビジネスの取材に対し、「顧客が求めている商品はなんなのか。それを揃えることが、自分たちの役目だと思っている。なので、爆買いだけに対応しようとも思わないし、日本橋という地域に合った商品を考えて提案していきたい」と説明する。その言葉には、「流行には踊らされない店を作りたい」という決意がうかがえる。たしかに、中国の景気は一時期ほどの勢いはなく、爆買いも一段落したと言われている。大型家電などに比べて、ドラッグストアの商品は低価格で買いやすいものではあるが、今から観光客向けに軸足を置いた店を出店するのは、いささかリスクもあるだろう。

 収益性も気になる。日本橋の一等地に、店の広さは1階部分が710平方メートルと広い。処方箋を24時間受け付けるとなれば、薬剤師が必要で、人件費も高いはずだ。「客単価」の高い調剤ができるといっても、近隣には大病院があるわけではなく、多くの枚数が期待できるというわけでもないだろう。契約の関係上、コンビニエンスストアのように弁当や総菜といった日配品は扱っていないため、「客数」もコンビニほど大きくないとみられる。

 そんな中で、いかに稼いでいくのか。実は、既に2階部分の約540平方メートルも借りており、現在はスケルトン状態だ。そこの利用方法について、ウエルシアHDは全容を明らかにしていないが、今年10月にも、2階の一部に整形外科診療所が入る予定であるという。

 ウエルシアHDは7月下旬にも、ビビオンの2号店を京都の四条河原町に開店する。広さは約560平方メートルと、日本橋に比べるとコンパクトだ。こちらは観光客の利用が多そうだが、やはり外国人観光客をターゲットにした店にはしない予定だという。

 ドラッグストアはかつて安売りのイメージが強かったが、ここ数年でその様相は一変した。大手の多くは調剤の機能を加えたり、顧客の健康相談に積極的に乗ったりするなど、付加価値のある店づくりにシフトしている。都心にあるドラッグストアで調剤を併設している店も増え、一定のビジネスモデルが確立されたといってよいだろう。品ぞろえや機能は模倣されやすいドラッグストア業界で、いかに一歩先へ進んだ店づくりができるかにかかっている。既にビビオンの3号店の出店も検討段階に入っているが、独自のビジネスモデルが確立され、軌道に乗るまでには今年いっぱいはかかりそうだ。