ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス傘下のウエルシア薬局は、都心向けの新業態を開店した。従来のイメージを刷新し、ネイルサロンなどを併設。東京・日本橋の立地ながら、外国人観光客の爆買いに頼らないビジネスモデルを目指す。

 東京・日本橋の交差点。夜10時を過ぎれば、人通りもまばらになるこの時間にも、ひときわ明るさを放っている店がある。外観は黒で目立たないが、道行く人の多くは、思わず店の中をのぞく。そして「ちょっと立ち寄ろう」という様子で、店の中に吸い込まれていく──。

ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス傘下のウエルシア薬局が日本橋に出店した、都心型店舗の「B.B.ON」(ビビオン)
ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス傘下のウエルシア薬局が日本橋に出店した、都心型店舗の「B.B.ON」(ビビオン)

 この店は、ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス傘下のウエルシア薬局が6月にオープンした都心型店舗「B.B.ON」(ビビオン)日本橋店だ。これまで出店してきた「ウエルシア薬局」といえば、郊外のロードサイドの立地で青い看板に大きな「薬」の文字。牛乳やパンといった日配品、冷凍食品などがあり、スーパーの機能も兼ねている店が多いが、その面影は感じられない。

 ビビオン店内で目立つのは、化粧品コーナーだ。ウエルシア薬局も化粧品コーナーは広い。資生堂や花王、コーセーなど大手の主力ブランドだけでなく、プチプラコスメといわれる低価格帯の化粧品も充実している。だが、ビビオンではこうしたブランドの露出は低め。英国の「ニールズヤードレメディーズ」や「生活の木」などといったオーガニックブランドが目立つ。ニールズヤードは日本橋エリアでの販売は初めてで、女性客の多くがこのコーナーで足を止めている。

化粧品コーナーには、英国のオーガニックブランド「ニールズヤードレメディーズ」の商品が並ぶ。日本橋エリアで取り扱っているのは同店のみ
化粧品コーナーには、英国のオーガニックブランド「ニールズヤードレメディーズ」の商品が並ぶ。日本橋エリアで取り扱っているのは同店のみ

 ネイルサロンを併設したのもウエルシアHD傘下の店では初めての試みだ。夜9時まで営業しており、会社帰りに気軽に立ち寄れる店を目指している。

 一方で、店の随所に“ウエルシアらしさ”が感じられる。ウエルシアは、全店で調剤の併設を目指しており、併設率は6割以上に及ぶ。ビビオン日本橋店も、入口すぐの場所に調剤のコーナーがある。処方箋は24時間受け付けており、血液検査を受けることもできる。