SMSを活用した豊島区の催告の文例
「豊島区税務課です。昨日催告状を発送しました。必ずご納付ください。 心当たりのない場合はご容赦ください。03-xxxx-xxxx」

 スマートフォンにこんなショートメッセージが届いたら、ドキッとするだろう。「本物だろうか?」と疑いつつも、思い当たる節があれば、思わず豊島区に連絡してしまうかもしれない。「先ほど届いたショートメッセージは本物ですか。まだ納めていないのですが、どうしたらよいでしょうか」と――。

 これこそが、東京都豊島区の狙いだ。豊島区は、地方税の1つである住民税の滞納者に対し、SMS(ショートメッセージサービス)を使って催告をしている。

 企業に勤めていれば、毎月の給与から天引きされる住民税。だが、個人事業主などの場合は、自ら納付しなければならない。リーマンショック後に比べれば、地方税の滞納状況は改善している。だが、2016年度の時点でも住民税を含む地方税の累積滞納額は、全国で1兆円を超えており、同年度の地方税の合計が約39兆円だったことを考えれば、いまだ少なくない額が滞納されている。

 豊島区も例外ではない。夜間相談窓口の設置やコンビニ納付など納税方法の多角化などで収納率を高めているが、16年度は住民税の約4%を収納できなかった。額にして12億円にのぼる。東京都の自治体はふるさと納税の影響による減収も問題視されている。財源の確保が急務だ。

 豊島区は、文書や電話、訪問といった従来の催告に加え、SMSを催告に利用し始めた。従来の手段では、「封を開けてもらえない」「居留守を使われる」といった問題があったからだ。17年7月から2カ月間、SMSを使った未納金の催告を実験した。すると、従来の方法では連絡が取りづらかった区外に転出済みの滞納金額12万円未満の滞納者825人のうち261人が自主的に納付をした。また長期にわたり接触できなかった未納者2695人のうち201人から電話があったという。豊島区の宇野貢彰・区民部収納推進担当課長は、「今まではまったく連絡がつかなかったので、200人も連絡が取れたのは大きな成果」と語る。

 低コストであることも魅力だ。

 訪問や電話などの催告と並行しているため、全体のコストは削減できていないが、訪問、電話1回にかかるコストと比較すると、SMSはそれぞれ約48分の1、約16分の1だという。

 同区の場合、滞納者の約6割が滞納額10万円以下の少額滞納者だ。若年層が多く、制度に対する理解不足が原因とみられる。宇野氏は今後について、「豊島区には外国人留学生が多い。彼らにも分かるよう、英語での発信も考えている」と語る。