ボーナス商戦が始まった。まだ受け取っていないうちから、何を買おうか考えるのは楽しい。一番ほしいのは、家電を操作できるという話題のAIスピーカー。だが、日本ではまだアマゾン・ドット・コムの「エコー」もグーグルの「ホーム」も売っていない。何かないかと量販店に足を運ぶと、有機ELテレビを推す小売りとメーカーの思惑がよく見えた。ブラウン管を駆逐し、「テレビと言えば液晶」となったここ15年ほどの「常識」が崩れる日は近いのか。

 そんなことを思いながら取材した20日のシャープの株主総会と経営説明会。伴厚志ディスプレイデバイスカンパニー副社長の口から、驚きの発言が出た。「日本の技術を結集して、新たな大型のテレビに向けた開発をしたい」。

 何が驚きか。これが同社の有機EL戦略を語る中から出てきた言葉だからだ。

シャープは株主総会の後、株主向けの経営説明会を開いた(20日、大阪府堺市)

 韓国サムスン電子やLGディスプレイが有機ELパネルの開発を着々と進める一方、シャープはずっと、液晶ディスプレーにこだわってきた。「すべてのテレビを液晶にする」「液晶の次も液晶」――。歴代の経営陣の強気の発言はよく知られている。

国内電機の有機ELテレビもパネルはLGディスプレー

 だが、重要顧客の米アップルが今年発売する新型iPhoneに有機ELディスプレーの採用を決定。2強の一角、サムスンはすでに発売中の機種に有機ELを搭載している。そこにきて、このボーナス商戦でソニーとパナソニックが有機ELの大型テレビを投入。有機ELパネルが一気に消費者の身近になってきた。そして一足先に3月に発売した東芝を含め、テレビの有機ELパネルを供給するのはすべて韓国のLGディスプレイだ。

 「有機EL化がこんなに早く進むとは思わなかった」。スマホ向けの中小型パネルのシャープのライバル、ジャパンディスプレイ(JDI)の有賀修二社長(当時)は5月の決算会見でこう指摘した。iPhoneのデザインや仕様に追随する傾向がある中国のスマホメーカーでも有機EL化が進んでいるからだ。

 現状を考えれば、シャープもJDIもスマホ向けの中小型の有機ELパネルの開発が急務。「液晶のシャープ」がその先のテレビ向けでも有機ELを検討すると明言したことに、時代の流れを感じずにいられなかった。