日経ビジネスでは昨年から、春の株主総会シーズンに1つの取り組みを始めている。それが株主総会の実況中継だ。「実況中継」といっても映像で株主総会の様子を報じるわけではない。文字で、経営陣と株主らのやり取りを報じている。
今年はツイッターを利用して即時性を高めた実況中継に挑戦した(アカウントは、@nb_kabuso)。経営陣らがその年の業績や今後の戦略についてどのように説明し、株主らがどんな疑問を投げかけるのか。注目企業を中心に、そのやり取りをいち早く読者に伝えてきた。
そもそも、なぜ株主総会の内容を報じているのか。私個人の見解はシンプルで、何よりも個人株主と経営陣のやり取りが面白いからだ。
「面白い」といってもそれは見世物のようなものではない。各企業の経営陣が、個人株主らの質問にどのように対峙し、どのように答えるかという様子を追っていくと、そこからはその企業の風土や株主に対する姿勢、さらには経営者の性格などが透けて見えてくるのだ。個人株主らの質問内容を聞くだけでも、その企業がどういった株主らによって支えられているのかもよく分かる。そういう意味でも、株主総会の場は、それぞれの企業のありようを多角的に観察できる有効な手段だと思っている。
であれば、株主総会の様子を伝えることも報道の一つの役割だろうと、実況中継という取り組みをスタートさせた。

今年は2月期決算でカリスマ経営者の退任が注目を集めたセブン&アイ・ホールディングス(詳細は「セブン株主総会、ぎこちない『ノーサイド』」)を皮切りに、不正会計問題以降、業績不振が続く東芝(詳細は「東芝株主総会、個人株主が修正動議!」)、台湾の大手EMS(電子機器の受託製造サービス)鴻海精密工業の傘下に入る見通しのシャープ(詳細は「シャープ株主総会、OBたちの思いは」)、燃費不正問題の三菱自動車(詳細は「三菱自動車、ガラガラ総会の虚しさ」)などを実況中継した。
これらのほかにもゼンショーやベネッセホールディングス、セコム、大戸屋ホールディングスなど、注目企業の株主総会の様子を詳報した(一覧はこちら)。
お家騒動や業績不振、事件などに揺れる企業を取り上げたからだろう。実況中継した株主総会の多くでは、個人株主から厳しい質問や追及が続いた。
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