「我々がやりたいのは、AIによる理想的なアシスタントによって、人の処理能力と、要求されている処理とのギャップを埋めること」

米グーグルのプラバッカー・ラガバン副社長。企業向けサービスの技術を統括している
米グーグルのプラバッカー・ラガバン副社長。企業向けサービスの技術を統括している

 そう話すラガバン副社長によると、1970年代に年間5000件程度だったマネジャー職のコミュニケーション量は、メールやモバイルの普及で年間5万件まで肥大化。そこにウェブ検索などが加わり、情報の海に襲われるようになった結果、週平均で6.5時間しか自分の時間をとれないでいるという。

 そうしたビジネスパーソンを楽にさせてあげる、あるいは、雑務から解放させてあげるためにグーグルはAIを活用しているのであって、人類から職を奪おう、という狙いはそこにはないと主張する。

 いや、ちょっと待て。秘書やアルバイトを必要としなくなる、という意味で人の労働を奪うことになる、と主張する人もいるだろう。しかし、それをもってAIを人類の脅威とするのは、いささか飛躍した議論なのではないか。

新たな雇用を生んできた技術革新

 技術革新は、常に人の仕事を奪う一方、新たな雇用も生んできた。ラガバン副社長もこう言う。「紡績機が19世紀に登場した際、多くの人は自分たちの仕事が奪われる、と考えていた。しかし、大量生産が可能になった結果、実際はより多くの雇用が生まれた」。

 自動車が登場して馬車が必要なくなると、馬を操る「御者」、あるいは馬車業者などは仕事を奪われたが、自動車産業という巨大市場を創出し、タクシーや運送業など自動車を利用したサービスも発展した。

 そう考えれば、例え、いずれタクシーや運送業がAIによって雇用を奪われる結果になろうとも、また新たな雇用が創出されるはずだ。AI産業に従事する人が急増するのは当然として、無人タクシーや無人運送の運行管理・サポート業務といった人材需要も増えるだろう。

 工業化を人間がうまく乗り切ったのと同じように、「AI化」もきっと人間は賢明に乗り越えて行くのだと思う。