正確には、スマートリプライ機能は、Gmailのメールを管理する新手のスマートフォン向けアプリ「Inbox」に取り入れられた。

「スマートリプライ」のデモ。画面下部に3つの返信候補が表示される
「スマートリプライ」のデモ。画面下部に3つの返信候補が表示される

 まずは、グーグル社員に自主的に自分たちのメール履歴を提供してもらい、メール内容とそれに対する返信の分析から研究開発を始めたという。結果、1件のメールにつき、3通りの簡単な返信候補をAIが提示できるようになった。

 例えば、「新しいソフトのマニュアル、持ってる?」というメールが来た場合、「ごめん、持ってない」「探すよ」「すぐ送るよ」という3つの候補をInboxが提示。適する返信があった場合、その候補をタップし、送信ボタンをタップするだけで、瞬時に返信が完了する。

 初期段階はシンプルな文面で精度も低いが、ユーザーがスマートリプライを利用すればするほど、AIによる学習効果でより適した文面に進化していくという。

 こうした「身近なAI」は、「近い将来、次々にグーグルの各種サービスに実装されていく」とラガバン副社長。日常的に利用しているサービスが、まるで秘書のように様変わりしていく計画も明かしてくれた。

10倍に増えたコミュニケーション量

 曰く、カレンダーの予定と交通渋滞の状況をAIが鑑みて、普段より移動時間がかかりそうな場合、ユーザーに「そろそろ出発したほうがいいですよ」と知らせる。あるいは、四半期ごとに面談をしているマネジャーがカレンダーに次の面談の予定を入れ忘れていても、AIが判断して自動的に予定をブロックしておく、といった具合だ。

 今年6月に発表した企業向けサービス「スプリングボード(跳躍台の意味)」では、さらに秘書としての度合いが増している。

 Gmail、カレンダー、ドライブ、グループなどグーグルの企業向け各種サービス(グループウェア)を横断的に検索できるほか、ユーザーに必要な情報をAIが提示してくれるという。例えば、ある会議の予定があった場合、参加者や会議の内容から、会議前に読んでおいた方が良さそうな資料やメールなどをAIが先回りして収集、プッシュで通知する。

 現状は、一部の企業ユーザーに限定してテストしている段階のため、その実力のほどは計り知れないが、膨大な情報の処理を強いられているビジネスパーソンの「効率化」につながるのは間違いなさそうだ。

次ページ 新たな雇用を生んできた技術革新