6月25日号の特集「米中100年 新冷戦~IT、貿易、軍事・・・覇権争いの裏側」取材のため、中国の影響力が増すアジア太平洋地域の国々を歩いた。インフラが不足する国・地域の住民は中国の経済圏構想「一帯一路」による投資を歓迎するものの、同時に「中国に何もかも奪われるのではないか」という不安も抱える。多くの中国の投資について回る「目的の曖昧さ」がその一因になっている。

 「米中100年 新冷戦~IT、貿易、軍事・・・覇権争いの裏側」取材のため、中国の影響力が増すアジア太平洋地域の国々を歩いた。アジアから欧州までをつなぐ広域経済圏構想「一帯一路」の実現に動く中国の進出状況を探るためだ。実際、カンボジアやスリランカなどには中国の資本が大量に流れ込んでおり、既に同国の支援なしには立ち行かない状況になりつつあった。

 特集でも触れているように、港や空港、高速道路に高速鉄道といった莫大なコストが掛かるインフラが不足している国・地域にとって、投資を積極的に進める中国は渡りに船の存在だ。中国人観光客による「爆買い」によって経済が潤っている地域も多い。

 とはいえ、中国からの投資を受け入れている国の関係者全てが諸手を挙げて彼らを歓迎しているかと言われれば、そうとは言えない。例えばスリランカ南部の港町、ハンバントタの住民は「いずれこの地域は『中国化』して、我々の文化も住まいも資源も根こそぎ奪われてしまうかもしれない」と話す。

 この街には中国の投資により港と空港が整備されたが、スリランカ政府は昨年、港の99年にわたる運営権を中国企業に売り渡してしまった。中国側はこの港を軍事利用することはないと明言しているが、字義通りに受け取る向きは少ない。

ハンバントタ港
99年に渡って中国企業が運営権を握ることとなったスリランカ南部にあるハンバントタ港の検問所。遠くに港のクレーンが見える。許可がなければ内部には入れず、最も港に近い検問所の警備員は自動小銃で武装している。