スマホのように、日本はまた負けるのか
プラットフォームビジネスは、これまでも主導権争いが繰り返されてきた。スマートフォンのアプリ用プラットフォームでは米グーグルの「Google Play」と米アップルの「App Store」が覇権を握り、電子商取引では米アマゾンが、ソーシャル・ネットワーキング・サービスでは米フェイスブックが勝者の典型例となった。そこに日本企業の影は薄い。
それでは、日本企業はまたプラットフォーム戦争で負けるのか。その可能性は低くない。
ただし、IoTは、スマホなどと異なり寡占化が進みにくい条件がある。一つは業界が多岐に及ぶこと。製造や医療、農業、ヘルスケア、エネルギー、自動車……。それぞれの業界で最適なプラットフォームが異なるため、全ての業種について1社が提供するプラットフォームが採用される可能性は低い。それぞれの業界で、日本企業が主導権を握ることは十分に考えられる。
例えばトヨタ自動車とKDDIは6月、「つながるクルマ」のグローバル通信プラットフォームで協力すると発表。クルマが国境を越えても安定した通信を提供する環境整備を進める。ファナックとシスコなども、「つながる工場」の分野でプラットフォームを構築し、他社製の産業機器の接続も可能にすることを明らかにしている。
これまでのプラットフォーム戦争は、導入や運用のしやすさに加えて、ある程度の規模の獲得によって一気にデファクトスタンダード(事実上の標準)となったケースがほとんどだ。IoTではデータ量がサービスの価値に直結するため、より先行者優位のビジネスとなるに違いない。
この春、GEやIBM、シスコなどのIoTのビッグプレーヤーの幹部が次々に日本を訪れ、トップセールスを繰り返した。また覇権争いに敗れるのか、それとも得意分野を生かして胴元となるのか。答えが出る日はそう遠くない。
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