IoT時代の「胴元ビジネス」とは?

 それでは、IoT時代の胴元とは誰なのか。

 IoTを運用するシステムを、それぞれの企業が自前で構築できるとは到底思えない。センサーで取得したデータを通信によってデータセンターに集め、そのデータを分析する必要があり、莫大な投資が必要になる。

 そのため、IoTに取り組む各社は2つのプラットフォームを利用している。これが、IoT時代の胴元だ。その覇権を握ったものが最も儲かるプレーヤーになる可能性が高い。

 1つは通信プラットフォーム。場合によっては国境をまたぐ無数のモノからデータを通信で集めるためには、モノの接続を認証したり、通信のオン・オフを切り替えたりする必要がある。それらを一手に引き受けるのが通信プラットフォーマーだ。

 この分野は米ジャスパー・テクノロジーズとスウェーデンのエリクソンが世界2強。各国の通信事業者は2社のプラットフォームを使ってIoTの通信を行っている場合が多い。

 通信プラットフォームは業界関係者から「儲けが少ないビジネス」と言われてきた。ただ、風向きは変わりつつある。

 通信機器世界最大手の米シスコ・システムズが今年2月、ジャスパーを14億ドル(約1650億円)で買収。ジャスパーの通信プラットフォームをIoTの入り口として、データの囲い込みを狙い始めた。ジャスパーのプラットフォームは世界で3500社が利用し、自動車だけでも800万台が接続している。IoTの進展で接続するモノが爆発的に増えれば、通信プラットフォームだけでも桁違いの売り上げが見込める。

 2つ目はサービスプラットフォームだ。広くIoTプラットフォームとも呼ばれる。IoTサービスに必要な機能をクラウドなどで提供する基盤のことで、収集した膨大のデータの解析や見える化、データ解析に基づいたサービスを製品側に送信する機能などを持つ。IoTによる付加価値の根幹を担うシステムだ。

 提供するのは、米アマゾン・ドット・コムや米IBM、米マイクロソフト、独SAPなどのIT大手が代表例で、専業のIoTベンチャーも無数に存在する。

 また、プラットフォームだけを提供する上記各社に対して、米ゼネラル・エレクトリックなど、センサーなどの機器からプラットフォーム、そしてサービスまで垂直統合型で手掛ける企業も現れ、既に覇権争いで主導権を握りつつある。GEが囲い込みを狙っているのは明らか。これまで社内用として使ってきたIoT向けのソフトウエア「プレディックス」の外販を昨年から開始し、他社製の製品とそのデータの取り込みも始めている。

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