(写真:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ)

 参院選が公示され、永田町が閑散とする中、目と鼻の先の霞が関は人事の季節を迎えている。筆者は主要省庁の取材をはじめて20年近くになるが、これまで少なからず、官僚の人事を巡る泣き笑いの場面に接してきた。

繰り返される霞が関人事の泣き笑い

 トップ就任まであと一歩と迫りながら、予期せぬ形で退任を迫られ、筆者と酒を酌み交わしながら悔し涙にくれた人。決して本流とは言えないコースを歩んでいたが、時代の波に乗ってその後大いに手腕を発揮した人…。

 時に政界も巻き込みながら繰り広げられる人間模様の現実。テレビドラマよりよほど面白いこともあれば、組織の中で生きていく難しさを肌で感じる貴重な機会でもあったとしみじみ思う。

 改めてこんなことを考えているのは、「キャラ」が立ちにくい昨今の官僚の中で、久々にこれでもか、というほどバッシングの嵐に見舞われながらトップに上り詰めた人物が現れたからだ。この6月中旬に財務次官に就いた佐藤慎一氏のことだ。

 佐藤氏は税制を担当する主税局勤務が長く、財務省の本流の主計局の経験は乏しい。それでも次官レースを駆け上がってきた最大の理由は、その政策立案能力の高さと行動力だ。

 第2次安倍晋三政権では政府・日銀が2%の物価上昇を目指すことで合意した共同文書の取りまとめに関与。成長戦略の有効打となった企業統治改革も金融庁と連携して旗振り役となった。

 専門の税制はもちろんのこと、幅広い政策分野に通じた「仕事師」ぶりが歴代幹部などから高い評価を得てきたのだ。

 そんな佐藤氏が苦境に陥ったのが、昨年のことだ。消費税の軽減税率導入を巡る政府・与党の論議が混迷したのは記憶に新しい。