これまでと比べものにならない売れ方だ

 風の丘は今年春にプレオープンし、反響を呼んでいる。売り出した区画のうち、既に100区画が売れた。風の丘を運営する曹洞宗・白華山 慈眼寺の田辺慎吾住職は「これまでの墓地のスピードとは比べものにならない売れ方。多様な『眠り方』へのニーズを実感している」と話す。今年末に全面オープンを控え、未発売の区画への引き合いも多い。

 契約者の多くが、生前に自分の墓を購入した層だ。「終活」との言葉が流行しているように、自由に自分の墓を選ぶ時代になった。

献花台の水盤に花弁を浮かべる

 新しいのは空間だけではない。この墓地では、一般的に墓石の両脇に配置される花立はない。水盤を設けた献花台に、花弁だけを切り取って浮かべる。これがこの墓地の献花の仕組みだ。浮かべた花弁を前に手を合わせ、丘全体にお参りをする。

 埋葬の仕方も独特である。芝の下に骨壷を埋葬する期間は、13年か33年。先祖代々の墓のように骨壷が半永久的に残るのではなく、期間が来たら、その区画から骨壷を取り出し、芝生の別のエリアに設けた合葬墓に移して安置する。跡取りがいないなどの背景で、有期限の個別供養を設定する例が増えてきているが、期限が来たら納骨堂へ移すのが一般的だ。墓地の内部で合葬する点は珍しいと言える。

 こうした供養の仕組みについても、関野さんと慈眼寺の議論の中で生まれたものだ。

 これまでにない形の墓地が注目を集めるのは、時代に応じて、「生き方」=「死に方」のニーズが変化してきたからに他ならない。

 少なくとも近代化以降、日本では「家意識」の高まりとともに先祖代々が眠る「家墓」が一般的となった。墓地に一定の区画を借り上げて墓石を設け、寺の檀家となる。