マイナス金利、REITには効果

 一方、金融緩和=REIT高という方程式は未だに成立している。REITでは、賃料と期待利回り(不動産の価値に対する年間の利益の割合)という2つの要素が価格決定で重要となる。賃料が高く、期待利回りが低いほど、不動産の価格は上昇する。

 マイナス金利で資金調達コストが安くなると、期待される利回りが多少低くても許容される。期待利回りが低下しREITの価格が上昇するという流れが続いている。証券アナリストも「マーケットの原理が正常に機能すればもっとREITの価格は上昇する」と強気のコメントが目立つ。

 REITの春は続いている。しかし、それを支えるアベノミクスの方程式はいつまで通用するのだろうか。国内の不動産市況を見ると不安が頭をもたげる。

REIT相場は堅調に推移
●東証REIT指数とTOPIXのパフォーマンス比較
(注)昨年末を100として指数化

不動産デベロッパー株は減速

 心配されるのは都心のオフィス需要だ。国内REITは資産の5割弱をオフィスビルで運用している。2020年の東京五輪に向け丸の内、新宿、虎ノ門など各地で開発は進むが、2018~19年に大型ビルの竣工がピークを迎え、供給過多になる可能性もある。オフィス空室率が上昇すれば賃料が下がり、REITの分配金が減る展開も否定できない。

 不動産物件の価格高騰も気になる。都心では国内REITや海外ファンドによる新規物件取得競争が過熱。ある不動産デベロッパー幹部は「とても社内で説明が通る価格帯では無くなっている」と嘆く。利益を確保出来る価格水準での新規投資先が無く、保有する既存物件も賃料下落というシナリオも出てくる。

 不安を織り込んでか、不動産デベロッパー各社の株価はさえない。例えば三菱地所株は昨年末に比べ26%安に沈む。REITと同様、不動産デベロッパーにもマイナス金利は追い風になるはずだが、ここではアベノミクスの方程式は賞味期限切れとなっている。

 REITはアベノミクスの恩恵を受ける最後の桃源郷。不安材料を内包しつつも、これまで「崩れそうで値崩れしない」(地銀の運用担当者)相場を演出してきた。市場関係者も強気の見方を崩さない。しかし、相場はいつか必ず変節点を迎え、これまでの方程式は意味をなさなくなる日が来る。REITに関しても慎重な見方が必要だろう。