しかし、高い分配金を作り出すためには、工夫が必要。 信用格付けの低い海外企業の債券に投資したものや、値動きの激しい新興国の通貨とリンクさせた商品、一般消費者には難しい仕組みのデリバティブ(金融派生商品)を組み合わせた投信などがある。

 さらには、高い分配金水準を保つため、投資家から集めた元本を切り崩す商品も数多く見られた。このタイプの商品は販売手数料や信託報酬と呼ばれる維持コストが高いものが多い。短期的に高い水準の分配金を貰えるのは嬉しいが、長期視点での投資に向いた商品とは言いがたい。

長期志向の商品へシフトの兆し

 森長官も4月の講演で、毎月分配型などの販売を念頭に置き「正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作り顧客に売るビジネス。手数料獲得が優先されたビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるものでしょうか」と厳しく非難していた。顧客本位の商品販売を促す金融庁が毎月分配型への販売に睨みをきかしたことで、大手証券会社の幹部からも「金融庁方針があるので、毎月分配金型を販促して目立つのは避けたい」との本音が聞こえる。

 それに加え、昨年は有力な毎月分配型投信で分配金の引き下げが相次いだことなどを受けて、前ページの図にあるとおり、毎月分配型の比率が、 昨年後半には年一回のみ分配金を支払うタイプに逆転された 。そしてその差は足元でも開きつつある。

 毎月分配が減り 、長期投資に向いた商品が少しずつ販売上位に顔を出すようになってきた。投資額という「量の側面」では金融改革の進捗は少ないが、投資先の商品が少しずつ長期志向へ変わってきたという「質の側面」では、森改革はある一定の成果を見せ始めている。