「近くて遠い国」を変えられるか

 ロシアにおける対日感情は、日本の技術力や伝統文化などを支えに良好とされる一方、北方領土問題などが響いて日本ではまだロシアは「近くて遠い国」との認識を持つ人も少なくない。日本企業を取材してみても、ロシアに興味はあっても、実際の事業展開には慎重なところも珍しくはない。代金回収や契約など様々なリスクに身構えるからだ。

 日本政府や日本貿易振興機構(ジェトロ)などもそうした点を認識し、日本企業が安心してロシアでの事業を考えられるような施策を講じつつある。

 例えばジェトロは今年1月から、全国の中堅・中小企業を対象にロシア展開支援事業を実施。ロシアに精通した元商社マンら専門家が手取り足取り、ロシアへの進出計画や事業展開などを指南する内容だ。

日本の顧客へのブランド浸透はこれから(撮影: 新津良昌)

 カラグラコフ社長も「様々なインフラは整いつつあり、5~10年前に比べればビジネス環境は改善してきた。ロシア市場の潜在的な可能性は高く、消費者の日本企業への期待感も高い。怖がらずに進出してみてほしい」と話す。

 カールヴィ社のような事例はまだ少なく、日本の市場に受け入れられるかどうかは今後の同社の営業戦略次第だろう。

 従来あまりなかったロシア企業による日本への投資が増えてくれば、日ロの経済関係がよりバランスが取れたものになり、それ自体は評価できる動き。大事なのは第2、第3のカールヴィ社が出てくるのか、継続的なビジネスとして発展できるかどうかだ。

 両政府の音頭取りはもちろん重要だが、中長期的に日ロの経済関係に影響を与えるのは、地道な個別企業のビジネスの積み重ね。引き続き注目していきたい。