4月、宮崎県の山間にあり、同県で最も人口が少ない市町村である西米良村を訪れた。宮崎空港からクルマでおよそ2時間。山道を駆け上っていくとたどり着く。
夕方、ヤマト運輸のトラックが宮崎交通(宮崎市)の路線バスに横付けされ、セールスドライバーが、集荷した荷物を路線バスに積み込み始めた。発泡スチロールに入った特産品「西米良サーモン」が目立つ。
路線バスの座席の一部を荷台スペースに改造しており、その中に荷物を収納した。しばらく経つと、路線バスは荷物を載せたまま発車し、同県西都市に向った。

これはヤマトと宮崎交通による「客貨混載」のワンシーンだ。この取り組みは、両社にメリットがある。
これまでヤマトは西都市の宅急便センターからトラックで往復約2時間以上をかけて西米良村での集荷に向っていた。荷物量に比べて移動距離が長く、効率の悪い集荷だった。
一方、宮崎交通は路線バスの利用者の減少に苦しんでいた。西米良村の過疎化が進む上に、マイカーの普及でバスの利用者が急減していたのだ。
そこでヤマトが宮崎交通に路線バスに荷物を載せることを提案。宮崎交通は利用者が少なく赤字路線であるため、ヤマトからの手数料収入を得られるのは渡りに船だった。
ヤマトは宮崎交通に手数料を支払うが、トラックを往復2時間走らせるよりは、負担を減らすことができる。
またセールスドライバーが西米良村に滞在する時間が増え、多くの荷物を受けられるようになった。
ヤマトは2015年からこうした宅急便の客貨混載を始め、今年からクール宅急便の取り扱いも始めた。こうした取り組みは、北海道や岩手県、熊本県にも広がっている。
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