卓球の世界選手権個人戦が1日、ドイツのデュッセルドルフで行われ、男子シングルス2回戦で張本智和選手がリオデジャネイロ五輪銅メダルの水谷隼選手を4-1で破った。13歳という若さに加え、メダリストで日本卓球界のエースに勝利したことは大きなニュースになっている。もちろん快挙であることは間違いないのだが、正直に言えば、記者にとってあまり驚きはなかった。

実は、注目を浴びる前の昨年10月、張本選手に面会する機会があり、そのときの印象が鮮烈だったためだ。「日経ビジネス」は経済誌なので、なかなかスポーツ選手に取材する機会はないが、2017年に活躍しそうな100人を取り上げる「次代を創る 100人」の1人としての取材だった。
取材場所となったのは、東京都北区にある「JOCエリートアカデミー」。張本選手はコーチでもある父親の張本宇氏とこの施設に住み込んでいる。昼間は隣接する中学校に通い、学校が終わるとアカデミーへ戻って卓球の練習にいそしむ、卓球漬けの毎日だ。
張本選手に会う前は、「ハリバウアー」と呼ぶ、反り返って喜ぶ様や、大きな声で喜びを表現する試合姿から、どんどん前に出てくるようなイメージを抱いていた。しかし取材に表れた張本選手は、どちらかというとモジモジして声も小さく、照れ屋のかわいい男子学生といった印象を受けた。
「写真が撮れない」とカメラマンが舌を巻く
それがいざ卓球を始めるとガラッと雰囲気が変わり、強気な張本選手の顔になった。ここでも少し驚いたが、もっと驚いたのはこの後だった。雑誌に掲載するために、卓球ボールを打っている姿を同行したカメラマンに撮影してもらっていたが、カメラマンは何度も「あれ?」と首をかしげている。どうしたのか尋ねたところ、「うまく写真が撮れない」という。撮影写真を見るとスイングスピードが速すぎてぶれてしまい、さらにフォロースルーで腕が顔の前にまで来てしまっていた。カメラマンは速く動くスポーツ選手を撮り慣れている人だっただけに、記者は卓球素人ながら、モノが違うのだと感じだ。
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