スズキが2度目に開いた5月31日の会見には、直接、出向いた。惰行法(国が定めた測定方法)による測定結果を国土交通省に報告した後に開かれたものだ。この時、経営陣は「不正」という言葉を自ら使って謝罪した。修会長も18日の「人情的に考えなくちゃいけない」との発言を撤回し、「全て法に従って責任を(はっきりさせた上で)処分することしかないと現在は考えている」と話した。

 会見が終わろうとしていた時、修会長は「これだけは言っておきたい」とばかりにこう切り出した。

 「いろんな不正が、誤解と間違いがあって積み重なって、大きな国の規定に反した不正をしでかした。小さな不正が積み重なったと私は理解している。そういう点で国の規定通りにやるということをまず見直す、直そうということを末端まで正確にやっていく。きちんと整備をしてまいりたいと思う。不正をお詫び申し上げると同時に、ご理解をいただき、信頼回復に応えることをやっていきたい。どうぞよろしくお願いします」

経営者が社員をかばうのは当然

 見方によっては単なる言い訳に過ぎない。でも、「小さな不正の積み重なり」とした修会長の心には、社員をかばいたいという気持ちが隠れていたように思う。ルール違反は確かにいけない。でも、このご時世、社員をかばいたいと考える経営者は貴重な存在だとも思う。

 4月下旬から幾度となく開かれた三菱自動車の会見では、残念ながらこうした経営者の思いが伝わってこなかった。特に3回目の会見で初めて顔を見せた益子修会長の発言には、「他人事」のような表現すら散見できた。

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