持ち帰り残業は禁止

 仕事を家に持ち帰るのも禁止だ。保育士には仕事熱心なタイプが多く、イベントなどで使う制作物を熱心に作りすぎる傾向がある。しかし、「保育士はハードな仕事で、週休2日でしっかり休まないと持たない。疲れがたまれば腰やひざなど体も痛めやすいし、カゼも引きやすくなる。体力の限界を感じると退職を選ぶということになりがちで、そうさせないためにも『お願いだから休んでください』と伝えている」(荻田社長)。新人が作業に時間がかかるのは当然だが、それをフォローする意味でもチューター制度を活用している。

2016年3月、保育園不足を訴える「保活ママ」(新宿駅前)。政府は「1億総活躍社会」の実現へ向けて、2017年度末までに待機児童ゼロを目標に掲げているが保育士数が不足している(写真:ロイター/アフロ)

職場のストレスを減らすには

 JPホールディングスの取り組みからあらためて分かることは、給与などの待遇の改善も重要だが、それと同時に社員の心身を守る様々な配慮をすることが、企業の長期的な利益となるということだ。

 2015年12月から「ストレスチェック制度」の実施が、従業員50人以上の事業所に年1回以上義務づけられた。この制度は、「長時間労働と職場の人間関係がストレスにつながることを企業全般に周知させる効果がある」(産業医の経験をもとにコンサルタントを行う亀田高志氏)。今後、職場のストレスを取り除く努力を進める企業が増え、より優秀な人材を獲得する手段となっていくのは間違いないだろう。企業レベルで取り組みを行うのは当然だが、それと並行して現場レベルでもストレスの少ない職場を作る努力が求められる。

 ストレス低減のカギは人間関係だ。ビジネスパーソンの悩みの大半は人間関係の悩みであると言われる。十分に休んでストレスをためず、職場でよい人間関係を作る。待遇面に配慮しつつ、従業員のストレス管理にも重きを置く取り組みが増えれば、“潜在保育士”の復職も増え、待機児童問題を解決する一助になるのではないだろうか。