収納容器やペット用品などで知られるアイリスオーヤマ。「なるほど家電」と銘打ち、手ごろな価格に設定した炊飯器やふとん乾燥機など、小型家電の開発にも力を入れている。そして今期(2017年12月期)、家電事業が単体売上高の半分を占める見通しという。その強さの源は何か。現場をのぞいた。

 4月下旬のある月曜日、宮城県角田市にあるアイリスオーヤマの拠点「角田I.T.P.」のビルの一階。大学の階段式教室のような会議室で、新商品開発会議が開かれていた。

多い日は70件ほどのプレゼンが行われる

 プロジェクターが映し出す画面の真ん前、最前列にヘッドセットをつけた大山健太郎社長、脇を専務と常務が固めている。複数のモニターが配置され、この時は大阪の家電の開発拠点の会議室とつなげていた。真ん中に開発中の掃除機が置かれ、起立と礼をしてから、担当者によるプレゼンテーションが始まった。

 「軽いタイプを値ごろな価格で提案するものです。サイクロンストリームで軽いながらも、強力なトライ品が上がりましたので説明したい」。司会がてきぱきと大阪にいる担当者に振る。

 担当者が「当初、1.9キロのものを提案していたが、競合が現れたので最軽量をうたうために1.8キログラムまで落としました」と応じたのに対して「どこをどう変えたんや」。さえぎる感じで大山社長が口を挟む。

担当者「ポイントは3つです。モーターのゴムを発泡に変えました、ABS(樹脂)とPP(ポリプロピレン)の比重を軽いものにして50グラム軽く、あとは各部品の肉薄化を」

 再びさえぎって「軽くして強度と性能はどうなんや」と大山社長が質す。

担当者「150ワットまで上がりました」
大山社長「上がった?吸い込み口ちょっと見せて」

 角田拠点の担当者が持っていき、動かしてみる。

担当者「本体が軽いので階段で持ったりできます」
大山社長「従来は2.5キロ?」
担当者「軽いものでそれくらいです」
大山社長「そもそもどこをどう変えた?」
担当者「今回、当然成型品も工夫しているが、モーターの出力は低い。ただ100ワット前提だが、100ワットあれば〇〇(競合の海外メーカー)の吸引力と一緒。大手は500ワットにしている。必要以上の機能だ」
大山社長「でかいモーターを小さくしたんやな」
常務「500ワットだと吸い込みすぎるくらいですね」
大山社長「プロダクトアウトだったんやな」
担当者「実際100ワットあれば問題ない」
大山社長「わかった」

 生産状況と発売日を確認してプレゼンは10分もかからず終了。次のプレゼンに移った。