ツネイシホールディングスは、広島県福山市を地盤とする造船大手。傘下に海運会社も抱えており、物流のノウハウもある。4月16日の本震から2日後の18日に被災地支援のプロジェクトを社内で立ち上げ、翌19日からフェイスブックなどを通じて支援物資の募集を開始した。

 すると、わずか数日で、地元の広島県下の自治体、江崎グリコやキッコーマンといった大手企業、起業家団体などから12万食分の食料や生活用品が集まった。約20トン積載可能な20フィートコンテナ、計18本分もの支援物資を積んだコンテナ船が、20日と23日の2便に分けて、福山港から鹿児島県の志布志港を目指した。

4月23日、福山港で積み込まれる20フィートコンテナ。鹿児島県の志布志港を目指した

 鹿児島から熊本への北上ルートを選んだのは道路事情が良かったため。熊本県の三角港を使うより、「トータルで10時間も時間を短縮できた」(神原氏)。陸路はグループの物流会社のトレーラーなどを駆使。ソーシャルメディアなどで物資が足りていない避難所の情報を集め、20箇所以上に善意を運んだ。

 同時に画策したのが、復路でゴミを運ぶというもの。「往路は満載のコンテナが、復路は空っぽになる。自然と浮かんだアイデア」と神原氏は振り返る。地元の焼却施設に運ぶ、あるいは、それが無理ならゴミを満載にしたコンテナを再度、コンテナ船に積み、福山港まで運び、グループ内の産業廃棄物処理施設で処分する、ということまで考えた。

 ところが、知り合いの国会議員やツネイシグループの社内に相談すると、「無理です」との答え。ゴミの運搬や処分を規制する「廃棄物処理法」が壁となった。

「逆に住民などに迷惑をかけることになる」

 「廃棄物を勝手に運搬する、あるいは処分するのは違法です」「グループ内の処理施設は産業廃棄物の処理のみ許可が降りており、一般廃棄物を処理すれば営業停止になる」……。

 周囲から、そう総スカンを食らった神原氏は、やむなくゴミの持ち帰りを断念したというわけだ。この話を聞き、環境省廃棄物対策課に問い合わせると、以下の回答があった。

 「事業者が自治体からの業務委託を受けずにゴミを運搬しただけで法律違反となる。処分も同様。災害時だろうが、適正処理が原則」。

 周囲の反対が裏付けられた格好だ。では、どうすれば持ち帰ることができたのか。廃棄物対策課は言う。「持ち出す自治体と、それを搬入する自治体からの許可と委託があれば可能です」。