決算資料に隠された業績上振れ余地

 トヨタが5月10日に開示した業績予想の資料を読み解くと、今後の上方修正に備えたバッファー(余地)がいくつも隠されている。

 まずは為替。トヨタは業績予想を算出する際の想定為替レートを1ドル105円と「悲観シナリオ」で設定している。これが例えば現在の113円で1年間推移した場合を考える。トヨタは1円円安となると、営業利益が約400億円増える。そのため、1ドル113円なら、業績予想よりも3000億円近く利益が上振れする。 

 次にカイゼン効果について。決算資料には原価改善の努力で今期は営業損益ベースで900億円のプラス効果があると書いてある。しかし前期は4400億円も原価改善している。前々期は3900億円。その前は2800億円。毎年加速しているカイゼンが、今期果たして急減速するのだろうか。

原価改善の努力によるプラス効果900億円という予想は例年の実績に比べかなり控えめだ

 くどいようだが、もう一つ。豊田社長が減益要因と暗に示した「未来への投資」の部分だ。実は資料を読む限りはそこまで増えていない。研究開発費は前期の1兆375億円から1兆500億円に増えた程度。設備投資も1兆2118億円から1兆3000億円。2つ合わせても1000億円程度のコスト上昇にしかならない。ここ数年、トヨタは成長投資を拡大しており、例年通りのペースと見て取ることもできる。今期は大胆に「未来への投資」に振り向けたとは正直言いがたい。

「未来への投資を優先する」とは言ったものの、研究開発費や設備投資の伸びは小さい

アナリストは増益予想

 こういった、トヨタの業績開示の傾向を特に良く知っているのが証券アナリスト。彼ら、彼女らが導き出した今期のトヨタ業績予想(QUICKコンセンサス)は営業利益が約2兆1000億円(5月11日時点)。会社予想より5000億円も高く見積もられ、前期比6%の増益となる。