タピネスは独自アプリをダウンロードする必要がなく、LINEのアプリ利用者はスマートフォンを自販機にかざすだけで利用できる。さらに4、5月はキャンペーンも実施し、PRを強化する。筆者はスマートフォンに余計なアプリを入れたくない主義で、このようなスマホを使った新サービスは基本的に利用しないと決めているが、LINEのアプリを開くだけでタピネスを利用できるなら、一度ぐらい試してみてもいいかなと思ってしまった。

 アサヒ飲料が狙うのも10代を中心とする若者だ。凍結寸前まで冷やすことで爽快感を高めた炭酸飲料で、屋外でのレジャーやアウトトドアなどで火照った体をクールダウンしてもらう。ある調査では、10代の男女が最もよく購入する清涼飲料水のトップに炭酸飲料が選ばれており、若者からの支持が高いことがうかがえる。

 アサヒ飲料では重要なターゲットに若者を位置付けており、三ツ矢サイダーのCMでは若者からの支持が高い神木隆之介さんらをキャラクターに起用し、PRに力を入れる。自販機でしか味わえない商品を提供することで、若者が自販機で商品を購入するきっかけを作る。アサヒ飲料の営業本部自販機事業戦略部の柴田篤グループリーダーは「自販機離れに歯止めをかけたい」と話す。

自販機は価格だけでなくマーケティング面でも重要

 飲料メーカー各社が自販機に投資をするのは、自販機には飲料を定価販売できる強さがあるからだ。内容量が500ミリリットルのペットボトル飲料は、小売店で安い場合だと1本70円で売られていることもあるが、自販機では150円で販売できる。

 特にここ数年はコンビニやスーパーなどがプライベートブランド(PB)を強化し、限られた売り場の棚を占拠している。棚の場所確保の争いは熾烈さを増しており岩田社長は「(棚を取るために)下手すれば条件闘争です」と話す。有利な場所を獲得するカギが価格になることもあり、収益低下につながってしまう。だからこそ、定価販売できる自販機は飲料メーカーにとっては貴重な売り場だ。

 実は自販機には販売価格面だけでなく、もう1つの重要な役割がある。消費者とのタッチポイントだ。自社の自販機であれば、並べる商品の選択権は飲料メーカー側にある。柴田グループリーダーは「メーカーが売りたいものを置ける。当社の商品を幅広く知ってもらう機会になる」と指摘する。岩田社長も「全国に220万台近く設置されており、コンビニの店舗数の40倍も多い。ブランドのマーケティング戦略において重要」と強調する。

 近年、飲料や食品の新商品やキャンペーンは大人に焦点を合わせたものが多い。しかし、企業が継続的に成長を続けるには、未来の消費者の育成も重要だ。若者をターゲットにした中長期な視点での取り組みが増えれば、市場が縮小するばかりの業界の未来予想図も面白いものになるのではないかと思った。

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