その上で、小澤執行役員は、新ビジョンを自分なりにこう解釈していると語る。「既存道路の修繕や改修がようやく終わって、今度は新しい目的地に向かう新たな高速道路をどーんと作ろうぜ、ということだと受け取っている。20年はいい区切りじゃないかな」。

 例えば、既存サービスをスマホのアプリへと置き換える作業は大改修の1つだろう。あるいは、「eコマース革命」と銘打ったショッピングモールの手数料無料化なども。スマホ経由で買えるようになったり、買えるモノの種類が増えたりしても、「ネットでモノを買う」という行き先は変わらない。では、新たな目的地や道路とは何か。その1つとして、小澤執行役員は「飲食店のネット予約」を見据える。

 「全ての飲食店がネット経由で予約できるようになれば、絶対に便利な世の中になる。でも、ヤフーの予約サービスも含め、世の中の現状は全くイケていない。これを、(約1000億円を投じて買収した高級ホテル・飲食店予約の)一休をテコにして、一気に変えていく」

「登る山を決めないことには登りようがない」

 ヤフーはこの20年、例えばSNS(交流サイト)やスマホ向けメッセージアプリという分野で「Facebook」や「Twitter」、「LINE」などに次々と抜かれていった。世界では「Uber(ウーバー)」や「Airbnb(エアービーアンドビー)」といったシェアリングエコノミーと呼ばれる新興勢が急成長しており、日本にもその波が訪れつつあるが、ヤフーはもともと強かった分野を守ることに必死で、こうした新規分野を開拓することができていなかった。

 これまでは、それでも成長し続けることができた。しかし、これからの20年は、それでは生き残れない。そんな覚悟が、新ビジョンに込められていると筆者は理解している。

 新ビジョンを、大言壮語と捉える向きもあるだろう。確かに最近の宮坂社長は、「Yahoo!ニュースの独自記事からピュリツァー賞を出す」「技術で米グーグルや米フェイスブックに次ぐ2番手集団、世界10位以内を目指す」と、大きなことを口にする機会が増えた。

 しかし、宮坂社長が「登る山を決めないことには登りようがない」と言うように、目指す場所のイメージを共有しないことには変革は起き得ない。過去の栄光にあぐらをかくという「強さゆえの弱さ」を認識し、次の20年に向けて意識改革を始めたという意味で、評価に値するのではないだろうか。少なくとも筆者には、これまでの標語よりも、よっぽど魅力的に映っている。

社内の至る場所に掲示されている新ビジョンのポスター。宮坂社長いわく、「UPDATE 『Yahoo!ニュース』とか、UPDATE 『俺』とか、それぞれのアップデートが書き込めるよう、小細工を施した」