この20年、ヤフーは「日本にインターネットを根付かせる」という使命を帯び、突き進んできた。誰もが目的の情報に簡単にアクセスできる「検索エンジン」から始まったヤフーは、あらゆるサービスを自前で構築してネットの便利さを人々に伝えてきた。

 「Yahoo!ニュース」ではメディア各社の説得を経てニュースの伝達速度を飛躍的に高め、「ヤフオク!」では膨大な中古品の流通市場を築いた。同時に、「Yahoo!BB」でブロードバンドを日本に普及させるなど、インフラ面でも日本のネット文化に貢献してきた。

 そうした使命を果たした後、ヤフーは何をすべきなのか。ヤフーに突きつけられた本質的な問いへの答えを、新たなビジョンは示している。つまり、日本社会全体に寄与するような、インパクトをもった新しい何かを「再び」成し遂げる、ということだ。

 海の向こうにいる生みの母、米ヤフーは新たな使命を見つけられず、「身売り」を余儀なくされている。中核事業の売却を検討しており、米メディアによると米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズや米グーグルが名乗りを上げているという。

 だからだろうか。現場を統括する役員からは、危機感や覚悟の強さが伝わってくる。

「既存道路の修繕がようやく終わった」

 断っておくが、ヤフーの業績は絶好調で、米ヤフーとは対照的に伸び続けている。

 2015年4~12月の3四半期累計で、売上高は前年同期比43.3%増の4452億円、営業利益は同34.7%増の1950億円となり過去最高を更新。2015年度は残り3カ月を待つことなく、前年度の売上高を超えた。実際に利用している月間アクティブユーザー数も増えており、2015年10~12月期の平均は、前年同期より約300万増の3191万だった。

 客観的に実績を見れば、宮坂社長以下、現経営陣は「超」が付くほど優秀だと言えるだろう。だが、「過去の遺産で食べている」とも言える。そのことを、ショッピングカンパニー長を務める小澤隆生執行役員は、「あくまで持論」と前置きながら、こう表現する。

ヤフーでショッピングカンパニー長を務める小澤隆生執行役員」

 「これまでは、新しいゴールを語っているわけではなかった。新しい価値を見出すことにそこまで一生懸命になっていたわけではなく、既存のサービスをひたすら良くすることを考えていた。資産を引き継いだ経営陣が、穴ぼこを埋めたり拡張したりしながら、マイナスにならないよう、上手にやってきたわけです」