山﨑拓男・副校長は「多くの林業現場では新人を教育する余裕がなく、作業に必要な機械を扱う各種の資格を取らせる時間も予算も限られる。卒業後、林業現場に入ってすぐに働けるようにまずは資格を取らせ、実技に特化したカリキュラムを組んでいる」と話す。

 ドイツの先端的な林業を学ぶ研修や、実際に林業事業者などへのインターンシップなども実施する。求人は林業事業社や森林組合、木材加工業社など引く手あまたで「就職率はほぼ100%」(山﨑副校長)と言う。

 高卒の学生だけではなく、転職して入校する学生もいる。フリーターに見切りをつけて入校した20代の女性や、中には50代で「どうしても林業をやりたい」と入校してきた元自衛官など多様だ。

林業セミナーの都道府県ブースに長蛇の列

 人気があるのは林業大学校だけではない。林業の担い手確保のため、林野庁の補助事業として全国森林組合連合会が始めた「緑の雇用」事業。その活動の一環として開催している林業への就業についてのセミナーも活況を呈している。

 今年2月4日、林業への就業について説明して相談を受けるセミナーの「森林(もり)の仕事ガイダンス」が東京・有楽町にある東京国際フォーラムで開かれた。各都道府県の森林組合が相談ブースを設け、来場者が組合の担当者と直接、林業の仕事内容や就業状況、収入や生活状況などについて話を聞いたり、相談したりできる。この日は約1100人が来場した。特に東京、埼玉、千葉、神奈川など首都圏に近い都県のブースには相談を待つ長蛇の列ができた。一方で、北海道や長野県など森林資源が豊かな場所も人気があった。

今年2月4日、東京国際フォーラムで開催した「森林(もり)の仕事ガイダンス」は、各都道府県の相談ブースに長蛇の列ができるなど活況だった
今年2月4日、東京国際フォーラムで開催した「森林(もり)の仕事ガイダンス」は、各都道府県の相談ブースに長蛇の列ができるなど活況だった

 さながら企業が合同で開催する就職セミナーのようだ。実際に林業に就業したばかりの「先輩」が登壇するトークショーも会場を盛り上げた。

 来場した都内に住む17歳の女子高校生は「大学主催のセミナーに参加して林業の将来性を感じた。林業学科のある大学に進学して、林業大学校を卒業して後の進路を考えるためにこのガイダンスに参加した」と話す。

 また、現在都内の食品メーカーに勤める28歳の男性は「即座に転職したいというわけではないが、転職の可能性については日々、考えている。林業も選択肢の1つ」と来場理由を語る。

 2年前にこのガイダンスを受け、北海道上士幌町にある内海林業に就職した瀬野航さんは31歳。横浜市のアパレル会社から転職し、家族で移り住んだ。

 瀬野さんは「子育て環境を考え上士幌町への移住を決意した。農業は自分で農地を取得するなどハードルが高く、働きやすい林業を選んだ」「朝は早いが夕方4時には作業を終えて帰宅する。家族とゆっくり夕食を過ごせる」と満足げだ。