「利益が出ず、仕事も危険でつらい。海外木材に押されて衰退産業になってしまった」。多くの人がこのように林業を見ているに違いない。だが、ここにきて市場が拡大し、若い就労者が増える成長産業へ変化する兆しが生まれている。

 林業における35歳未満の就業者の割合は1995年の国勢調査で全体の9.9パーセント。1割を下回っていた。だが、2000年は11.5パーセント、2005年は13.1パーセントへと増加、そして2010年には17.6パーセントに達した。農業の7.2%、漁業の12.6%を大きく超えている。

 林業の担い手の若返り傾向の背景には、世代交代や雇用を促進する国の政策などに加え、林業自体に復調の兆しが見えていることも理由の1つだろう。

 価格の下落で輸入材に対して競争力を持ったことや、戦後に植林され伐採に適した46年以上の樹木が全体の半数を超えるなど日本の林業は供給力が増えている。木材を使った公共建築物やバイオマスでの利用など新たな需要も生まれている。

 輸入材に押されっぱなしだった国産材は近年、存在感を増している。全体に占める国産材の割合である木材自給率は2015年には33.2%まで上昇し、30年ぶりに3分の1の水準に達した。

日本各地で林業大学校が相次ぎ開校

 若い世代の林業への就労割合が増えていることに呼応して、即戦力となる人材の育成を目的に全国で林業大学校の設立が相次いでいる。林業大学校は都道府県が設立する専修学校、専門機関だ。2011年には全国に6校しかなかったが、設立が相次ぎ昨年までに14校にまで増えた。今年も岩手、兵庫、和歌山県で開校予定だ。

 2012年4月に開校した京都府立林業大学校は、中でも特に実践的な教育で知られる。2年制で2016年度は合計36人が在籍。高校を卒業したばかりの10代が26人と過半数を占める。なお、女性は4人だった。今年度も高卒の学生12人を中心に16人が入校予定で、4月10日の入学式に向けて教員たちも準備に余念がない。

 同校は京都駅からJR山陰線に乗って1時間30分ほどの京丹波町にある。山深く、林業が主力産業の町。丹波地区はかつて、平安京にも木材を供給したと言う程、林業の長い歴史がある場所だ。そんな林業の聖地とも言える場所で、学生たちは日々、林業を学んでいる。

京都府立林業大学校の実習風景。学生たちが教官の指導の下、慣れない手つきで樹木を切り倒す(写真:菅野勝男)

 「伐倒します」。京都府立林業大学校の学生が樹木を倒す方向を手で示しながら大声で叫ぶ。今年2月、雪が降る南丹市の「府民の森ひよし」では、指導員の指示に従って 1年生のクラスは実際にチェーンソーを使って、次々と樹木を伐採する。切り口を見て「刃をもうちょっと右から入れればもっと正確に倒せた」などと生徒同士が話し合う。