久松農園には個人客や、個人経営の飲食店からの注文が多い
久松農園には個人客や、個人経営の飲食店からの注文が多い

 久松農園の2015年の売上高は約4000万円。損益の額は明らかにしていないが、黒字で利益率は高くないという。

保護政策で経営意識が希薄に

 だが国内農業を見渡すと、久松農園のように採算が取れている生産者ばかりではない。売り上げから肥料・農薬などの資材費を引くと赤字で、政府などからの補助金を受けて、辛うじて決算上の黒字を維持している生産者が、主に稲作農家で多くいる。補助金の存在が、残念ながら生産者の経営意識を希薄にさせているのだろう。久松氏は過度な保護政策をやめて、自由で適正な競争環境を整備する必要性を説く。

 日経ビジネス3月28日号の特集「TPP時代に勝てる 農産物ジャパン」では、2017年以降と見込まれるTPP(環太平洋経済連携協定)の発効後も、海外産と十分に戦える日本の農林水産物や、新時代を見据えて競争力を磨く国内生産者の動きを紹介した。

 国内生産者が力を注ぐべきなのは、海外産との競争に勝つことだけではない。モノ余りで消費者のニーズが多様化する時代になったことにも注意を払う必要がある。農業でも大量生産・大量販売するモデル以外に、消費者のニーズにきめ細かく対応した農林水産物を作る担い手の存在が求められている。久松農園のように小規模でも高い経営意識を持ち、味や鮮度という得意分野で勝負する生産者が増えれば、日本の農業全体のレベルアップにつながると感じた。

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