スマホで無料授業

アオイゼミは毎晩無料で授業を放送している

 葵が運営する「アオイゼミ」はスマートフォンさえあれば、無料で授業を受けられる。中高生向けに授業を生放送しているが、メールアドレスなどを登録すれば無料で視聴できる。講師も大手予備校経験者を揃え、中高生向けに9科目の授業を配信するなど一般的な学習塾の授業内容とそん色がない。放送中に質問をしたり、ほかの生徒と交流したりもできるなどIT(情報技術)を活用したサービスも受けられる。

 さらに月額3500円のプレミアムコースになれば、過去の授業4000本以上を好きな時間に授業を受けられるほか、テキストもダウンロードできる。プレミアムコースでも、授業料は一般的な学習塾の4分の1程度で済む。

 アオイゼミは教室をもたず、放送設備しかない。固定費を抑えることで低価格を実現できた。石井社長は「『塾に行ける経済的な余裕がなかったが国立大学に合格できた』という報告もきている。学習意欲さえ高ければ、所得格差も地域格差も乗り越えられる」という。アオイゼミには2017年も国公立大学や有名私立大学への合格報告が届き始めている。

圏外の立地でコスト削減

 ほかにも貧困家庭でも受けられるよう授業料を抑えた学習塾がある。コラボプラネット(福岡県糸島市、西原申敏社長)は出店戦略で低価格を実現した。授業料は週1回で月7000円。一般的な学習塾と比べ半額程度に抑えた。

コラボプラネットが運営する学習塾。空きスペースを活用して固定費を削減

 出店戦略はどの企業も重要だが、同じ計算式で使うと同じような場所に進出してしまう。

 多くの学習塾は駅前に出店し、近くに2~3つの学校がある地域を探す。さらに教師を集めるため、近隣に大学がないかも確認する。近隣にある2~3の学校から200人を集めて、大学生のアルバイト教師を見つけられれば十分収益があがるものだ。各社は地図情報システムを駆使して、候補地を探す。そのため同じような場所に教室を開いてしまう。

 コラボプラネットはあえて他社が圏外だと考えた場所を狙う。西原社長は「最後発で同じことをしたら収益があがらない」と考えた。

 圏外であれば競争相手は少ない。だがそうした地域でも、子供の教育に熱心な家庭は都市部まで送り迎えをしていることが多い。ただでさえ子供は少ないうえに見込み客となりそうな人は既に別の塾に通っている。

 そこで西原社長は授業料を低価格に抑えれば貧困家庭にも対象顧客が広がり、需要を掘り起こせると判断した。「勉強の楽しさを教えれば成績はあがる。20点しか取れなかった生徒が60点程度に上げられている」(西原社長)。