食堂車の「しきしま」。椅子の座面は比較的高く、やや硬めに感じた。座った時に深く沈むようだと立ち上がりにくいこともあるからだろうか
食堂車の「しきしま」。椅子の座面は比較的高く、やや硬めに感じた。座った時に深く沈むようだと立ち上がりにくいこともあるからだろうか

他の豪華寝台と同列に扱われがち

 そんな四季島だが、メディアでの扱いが少し不憫だった面がある。

 今年は西日本旅客鉄道(JR西日本)も豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」を走らせるため、観光業界の観点から、「今年は豪華列車が続々登場する年」などと並列で、一緒くたに取り上げられることが多い。実際、記者もそうしたトーンで執筆していた。

 また、JR民営化30年の節目で書いた日経ビジネス3月6日号の特集記事では、2013年に運行を開始した九州旅客鉄道(JR九州)の「ななつ星in九州」をまねた印象がぬぐえない、と書いた。

 というのも、明らかに似ているからだ。四季島の乗客の定員は34人で、ななつ星は30人。乗車券や寝台券を販売する形式ではなく、沿線の立ち寄り観光も含めた、旅行商品として販売されている点も同じ。最も安価な1泊2日コースは1人当たり32万円からで、ななつ星は30万円からだ。出発前に、顧客が駅で集合し、出発まで待機する専用のラウンジがあるのも同じだ。

 ついでに言えば、JR九州の幹部が取材で、「JR東の幹部が『ななつ星をまねました』と言ってました」と話していた。

 まねることは決して悪いことではない。ただし、それだけでは“思考停止”の経営だ。それを基に独自の色をどう打ち出していけるかが重要だろう。ななつ星は総工費30億円をかけて、当時社長だった唐池恒二会長の指揮のもと、サービスまで手間ひまを惜しまず作り上げている。だから採算面では決して儲かるビジネスモデルではないが、企業の広告塔の役割を果たしていて、開業から3年以上が経過した今も、「あの列車に乗ってみたい」という顧客、そしてリピーターが後を絶たない。四季島も儲かるビジネスではないと予想されるが、その中で個性を発揮したり、会社の次のビジネスモデルを生み出すきっかけになったりするかどうか、成否はそこにかかっていると思う。

最も高額な「四季島スイート」の客室。メゾネットタイプで車内であることを忘れてしまう内装だ。ひのきのバスタブも目玉の一つ
最も高額な「四季島スイート」の客室。メゾネットタイプで車内であることを忘れてしまう内装だ。ひのきのバスタブも目玉の一つ
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車いすの顧客が利用しやすい、入り口が広いバリアフリーの個室もある
車いすの顧客が利用しやすい、入り口が広いバリアフリーの個室もある

 実際に営業担当者は、独自性についてどのように考えているのか。四季島の内覧会で、率直に聞いてみた。そこで返ってきた答は、「旅行の作り方」だった。

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