当然、この傾向は国内でもある程度同様の傾向はあるだろう。筆者自身も子供を生んだときにそうだったが、おむつは一度選んで使い始めれば、よっぽどの理由がない限り、ブランド替えは起きない商品だ。下手に替えて、子供がおむつかぶれなどを起こせば面倒だし、特段「何で」選んだという明確な基準もないため、一度選んでしまえば積極的に切り替える理由もない。そういう意味では、「入り口」をつかむことが非常に重要な商品ともいえる。

 一方、先進国についていえば、最近ではその流れも徐々に変わってきているようにも思う。母親は、妊娠中にネットでおむつの製品情報や口コミなどを吟味した上で、生む前におむつをすでに選んでいる傾向があるのだ。そうした母親たちは、出産直後の入院期間こそ病産院で提供されたおむつを利用しても、退院後もそのまま盲目的に同じブランドを使うことはしないだろう。特に、80年代以降に生まれたミレニアル世代は、クオリティを重視する情報感度の高い世代ともいわれる。「よいもの」と実感してもらえればそのまま使ってもらえるという機会であると同時に、無償で提供されても、使った上で難点があれば、もう二度と使わないという判断を簡単に下す。

 ゆえに、メーカーは、徐々にこの市場に注力しているともいえる。途上国、先進国、両方で重要度が増しているからだ。今後はおむつの技術改良や質の高さがなおさら重要になってくるといえるだろう。中途半端な商品を病産院に提供すれば、リスクにもなりかねないからだ。

ブランドで選ぶ「おむつ選び」は終焉

 特に、初めての子供ともなれば、母親は不安だ。着るもの一つとってもオーガニックコットンを使ったタオル、肌に優しい肌着、と「よいもの」を与える傾向にある。

 P&Gは、「肌へのいちばん」という高付加価値品を病産院に提供しているし、ユニ・チャームも一般向けではあるがオーガニックコットンを使用したおむつを発売するなど、「質重視」の顧客向けの製品を積極投入している。ユニ・チャームが、こうした商品を「入り口」である病産院向けに販売することも考えられるかもしれない。

 今までは盲目的に病産院で与えられたおむつをそのまま使っていた母親も多かったかもしれないが、今後、おむつは「選ばれる」商品になっていくはずだ。ユニ・チャームのオーガニックコットンのおむつは、競合他社の幹部が「オーガニックコットンを使っているという表面的な“ウリ”だけでなく、実際に従来品より柔らかく、肌触りが良くなっていて驚いた」とそのクオリティに舌を巻く。

ユニ・チャームのオーガニックコットン配合おむつ「Natural moony(ナチュラル ムーニー)」。中国でも販売を開始し、売れ行きが好調だという

 特に「日本の顧客は、価値というものを、質と価格の両方のバランスで決める。質が良くてもそれに見合った価格なのかどうかの目が厳しい」(P&Gのベセラ社長)。P&Gが今回発表した商品は、日本で先行発売し、今後欧米各国に投入予定だという。

 衣料品や服飾雑貨でも見られるように、「ブランド」で選ぶ時代は、ここでも終焉を迎えようとしている。「パンパース(P&G)」「メリーズ(花王)」「ムーニー(ユニ・チャーム)」といった「ブランド」ではなく、「質」や「企業姿勢」で「選ばれるおむつ」になるための競争が、始まったともいえるだろう。