アクティブリンクが商用化したパワーアシストスーツ。12キログラムの水を持ち上げる作業をサポートしているところ

 複数のロボットの研究開発を進めるなかで、アクティブリンクは既に商用化にこぎつけた製品も持っている。それが、パワーアシストスーツと呼ばれる、腰に装着し軽量の物体の上げ下げをサポートするロボットだ。アクティブリンクは月産数十台規模で、パワーアシストスーツの量産を始めている。

 同ロボットを身に着けた技術者は、筆者の目の前で12キログラムの水を実際に、持ち上げてくれた。その際に技術者の表情は変わることなく、モーターだけが作動。人間の足腰の筋肉の動きをロボットがサポートし、重いものを楽々と持ち上げている様子がうかがえた。

 このパワーアシストスーツの導入実績は、大手企業から中小企業まで約100台に上る(2月時点)。実証実験としても、大手家具メーカーの物流拠点や貨物の積み下ろしを行う港湾、建設現場などで使われているという。ある物流会社の実証実験の現場では、パワーアシストスーツの導入により、1時間当たりに運搬できる荷物の個数は2~3割増につながった。

 アクティブリンクの藤本社長が装着型ロボットに期待するのは、単に重たい荷物を持てるようにしたり、歩行で疲れにくくしたりすることだけではない。

 装着ロボットにセンサーも組み込むことで、人間の周辺をセンシングする機能も付与でき、より生産性向上や付加価値を生み出せる可能性が高まると考えている。「センサーが入った装着型ロボットを身に着けることで、人間の機能が拡張されていくイメージ。人間が歩くセンサーになり、触れるものをすべてセンシングして記録できるようになっていくだろう」(藤本社長)。

 例えば、持っている荷物の重さ、収穫した農作物の糖度などを、すぐにセンシングできるようになるイメージだ。これらのデータ取得を、作業しながら実施できれば、計測の工程も省けることになり、さらに生産性が上がるのは間違いない。

平城京のモノ作り集積地で開発される

 アクティブリンクの本社は、奈良市の「平城・相楽ニュータウン」にある「ならやま研究パーク」に存在する。ここは、奈良と京都の県境にある平城山(ならやま)丘陵と呼ばれる場所で、古くは日本書紀にも「那羅山」として登場する歴史あるエリア。しかも、平城京にあった平城宮や仏閣などの瓦を焼いた瓦窯の跡地が数多く残っており、いにしえの日本の都におけるモノ作りの集積地だった場所なのだ。

 そのような古くから日本のモノ作りの歴史が残る場所で、30年も前に公開された米国のSF映画に登場する架空のロボットを、日本のベンチャー企業が開発していることに、筆者は驚きと共に感慨を覚えた。

 アクティブリンクがこのロボットを商用化する際には、ぜひ海外の国々でも商標登録し、パワーローダーを世界に売り込んでほしいと思う。このロボットを着て人類がエイリアンと戦うことにはならないことを祈りつつ、日本で開発されたパワーローダーが人間の能力だけでは難しい作業を担い、人類の課題をバリバリと解決する未来が到来することを願いたい。