指導の前に、自分が頑張っているのか

 はっきりしているのは、まずは自分自身の忍耐力を高めることが大事ということだ。三菱ケミカルホールディングスの小林会長は「親が懸命に働いていないのに、その子供は必死に学ぶのでしょうか」と指摘する。仕事だけでなく何の分野であれ、子供は大人の姿を見ているだろう。

 冒頭に紹介した中学教師は、「生徒に頑張れと指導しているが、自分が頑張っているのか」と常に自問している。バスケットボールや柔道部の顧問として、常に子供と一緒に汗を流している。

 子供の教育を考えると、自分のことに跳ね返ってくる。子供には自分の姿がどのように映っているのだろうか。

 3年前に他界した私の母は、がんが見つかった時点で治療の余地がなかった。来客がないのに手が動く限り歯を磨き、ガン発覚後3カ月で亡くなった。見舞いに行くと、「来なくていい。しっかり働きなさい」が決まり文句だった。

 母からは子供時代に「我慢しなさい」とよく怒られ、ずいぶん反発したが、臨終までの姿が私にとっては最大の教育の題材になっている。