大学の存在意義は授業を通じて学生を「教育」し、人材育成をすることにある。そしてもう一つ大きな役割があり、それは新しい技術を生み出したり新たな事実を発見したりする「研究」である。典型例の1つが京都大学・山中伸弥教授によるiPS細胞に関する成果だろう。

 こうした大学で生み出された技術や研究成果を世の中に早く活用する方法として、企業と大学がタッグを組む「産学連携」ということばをよく耳にする。最近ではオープンイノベーションという名のもとに、大学も連携相手として注目度が増している。

 しかし考えてみてほしい。一般の人が「産学連携で生み出された成果や製品で、インパクトがある有名なものを挙げてください」と聞かれたら答えられるだろうか。ほとんどの人が答えられないだろう。

 理系の人なら、青色LED技術を豊田合成と共同開発した名古屋大学の例や、建材などに使われている光触媒技術をTOTOやパナソニックなどと開発した東京大学の例が浮かぶかもしれないが、いくつも挙げられるほどでもない。

 このことに疑問を持った記者は、日経ビジネス2月20日号の特集「行きたい大学がない」でもこの点の取材に取り組んだ。その中で明らかになったのは、企業と大学のお寒い関係だった。