ここまでは無理でも工夫の余地はある。転職サイトなどの運営を手がけるじげん(小規模部門16位)は、毎月社員に「ランチスタンプ」を配っている。「同じ干支の人」「役職についている人」などいろんな人と一緒にランチをとることでスタンプ(相手による氏名と日付のサイン)を貯め、月内に5つに達すると、社内通貨「GAT(ガット)」という形でランチ代(1000円)が支給されるというものだ。自分の部署以外の人と食べに行く機会を増やすシカケだ。

スタンプを貯めると現金相当の社内通貨がもらえる

 同社にはほかにも、新入社員同士が飲み会の企画を業務として本気でやる「勇者委員」制度を設けたり、社員同士がゲームで対戦するために「ストリートファイター」のアーケード機2台を購入してオフィスに設置するなど、社員同士が触れ合う機会を意図的に作っている。じげんは東証マザーズへ上場するなど企業規模が拡大しているが、「ベンチャーに欠かせない人同士の交流を失わせてはいけない」(経営推進部の翠勇樹部長)という方針からだという。

ホット・ウェットの社風が合うかは人次第

 紹介した3社に共通するのは、社内の仕組みを作って社員間の距離を縮め、コミュニケーションの量と質を高めることで社員の働きがいの向上を狙っていることだ。かつて、「いい企画はタバコ部屋で生まれる」といわれたように、コミュニケーションが幅広く密な方が、新しいアイデアが生まれやすく、実現もしやすいことに大きな異論はないだろう。

 今回紹介したこのランキングに入賞すると、ランキング入りしたことを自社ホームページなどで掲載していいことになっている。採用活動において就活生に安心感が生まれ、有利に働くことがあるという。

 ただ、それを聞き、素朴な疑問がわいてきた。ランキング入りした会社であればどの会社に入っても必ず働きがいを感じられ、充実した社会人生活を送れるのか――というものだ。

 ちょうど同時期に「ブラック企業の見分け方、いい企業の選び方」という就活生向けの記事を書くための取材をしていた。そこでこの点について識者に聞いてみることにした。

 企業の採用に詳しい人材研究所の曽和利光社長は、「企業は大別してウェット、ホットまたはクール、ドライという企業文化に分かれる。ウェットやホットの企業はコミュニケーションの機会も多く、家族的な距離感で飲み会も多い。それに合う人はいいが、クール、ドライを好む人には、いくらいい会社でも決定的に合わない」と述べる。

 何人かに同じ質問を投げかけてみたが、曽和氏の分析が自分の感覚にも近く、納得できるところが多かった。どちらが良いとか悪いではなく、人によって合う合わないという好みの問題が存在しているということだ。

 「働きがい」を考える上で、従業員同士の連帯感は、確かに大切な要因となる。また、連帯感を高めるには“接点”を増やすのが効果的であるのもまた事実だろう。ただし、連帯感は、離職率を抑えながら業績を伸ばし、さらには企業としてのサスティナビリティを追求する上での手段であって、目的ではない。つまり、「ホット・ウェット=是」と、安易に言い切れるわけでもない。

 自分はウェット、ホットまたはクール、ドライのどちらなのか、さらに自分の所属している企業・団体の文化はどちらに近いか。冒頭で紹介したランキングを眺めながら、改めて考えてみるのも興味深いだろう。