JXエネルギーは意図的な炎上商法ではないと否定しているが、社会通念にブレがないことを見抜き、そこをしたたかに突いたのであれば、結果として世間を手玉に取るのに成功したと言えるだろう(もちろん実際にCMを制作したのは広告代理店なのだろうが)。

 米国人の友人は「米国でこのCMが流れたらバッシングが起きると思う」と話す。一億総活躍社会、働き方改革を掲げ、女性の社会進出を後押しする安倍政権。その結果として帰着する先が、本当に素晴らしい世界なのかどうかはともかくとして、少なくともJXエネルギーのCMが炎上を招く社会であるのは間違いない。

「24時間戦う」は炎上する?

 もちろん社会通念は不易ではない。「24時間戦えますか」。バブル期に流行したあの栄養ドリンクの CMを、電通の女性社員自殺問題をきっかけに長時間労働に対して敏感になっている今放送したら、猛烈な批判が起きることになるだろう。

 ただ、政府の威勢のいい掛け声とは裏腹に、「我が国固有の労働慣行に配慮しながら…」などという文言が重しのようにしれっと挿入された働き方改革の議論を見るに、表層的に制度が変わったとしても、我々が想像しているよりもずっと長く、そしてずっとしぶとく、この社会通念は残り続けるのかもしれない。

 と大上段に書いてきたが、「小池栄子さんになじられるのなら悪くない」と考えてしまっている時点で、私自身、気づかないうちにこの社会通念が思考に染み付いているのだろう。もちろん、稼ぎの多寡が男性の価値基準ではないのと同様に、美醜が女性の価値基準だという考えなんて毛頭持ち合わせていないが。念のため。