この経済力では住職ひとりが食べていくのも精一杯だ。後継者は、自坊を継ぐまでどこかに働きに出なければならない。「出稼ぎ」の形態は様々だ。民間企業に就職するケースもあれば、大寺院や宗門に「勤務僧」として雇われるケースも多い。このお坊さん便に登録する僧侶たちが増えている背景に、「食えない僧侶」の存在がいることは間違いない。

 仏事の手段にこだわらない都会人と、貧困にあえぐ僧侶の両方のニーズが満たせるのがこのサービス。そう捉えれば、ウィン・ウィンのように思える。

仏教会が猛抗議

 がしかし、そうは問屋がおろさない。アマゾンでこのサービスが紹介されるや否や、仏教界が猛反発したのだ。仏教教団105団体が加盟する全日本仏教会(全日仏)は12月24日付けで理事長談話をホームページ上で公開した。

 「お布施を営利企業が定額表示することに(全日仏は)一貫して反対してきた。お布施は、サービスの対価ではない。同様に戒名も商品ではない。アマゾンのお坊さん便僧侶手配サービスの販売は、まさしく宗教行為をサービスとして商品にしているものであり、およそ諸外国の宗教事情をみても、このようなことを許している国はない」――。

 さらに、アマゾンに対し「世界的な規模で事業を展開するアマゾンの、宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ない。しっかりと対応していきたい」と抗議した。

 みんれびでは「(全日仏の)反発は想定内。だが、いまのところ、うちには直接抗議はない。仮に抗議を受けても、このサービスを止める訳にはいかない」としている。

 仏教界が恐れるのは宗教行為が商業に飲まれてしまうことによる、組織の弱体化だ。特にサービスの対価として布施金額が明示されてしまうと、宗教行為が「サービス業」として既成事実化しかねない。

 宗教とサービス業との垣根があいまいになれば、国は宗教法人に対する課税の論議へと舵を切る可能性がある。それでなくとも寺院の大部分は経済的に厳しく、例えば法人税や固定資産税などが導入されれば、死活問題だ。