住友商事の子会社トモズが首都圏を中心に展開する「トモズ」でも、やはり処方箋の枚数が増え、面薬局としての手ごたえを感じている。同社は基本的に全店調剤併設を目指しており、現在、約7割の店に調剤機能がある。店をオープンすると、最初は1日5~10枚がやっとだが、半年から1年で徐々に増えてくる。師岡伸生社長は「調剤は非日常のイメージが強い。だからドラッグストアの利用者に認知されて、実際にその人が処方箋を持ってくるようになるまでには時間が掛かるのだろう」と話す。

欧米型ドラッグストア時代の到来を確信

 ドラッグストアのような面の薬局に処方箋が集まるようになったのには、そもそも薬局が増えて、「別に医療機関の近くでなくても、自宅や職場などのそばの薬局で薬をもらえるんだ」ということが消費者に浸透したからだろう。加えて、大病院の近くの薬局は混んでいて待たされることが多い。自分の生活圏にあるドラッグストアに処方箋を出しておいて、後で取りに来れば時間も節約できる。

 会計時に支払う金額の分にポイントがつくことも、大きな要素といえる。ウエルシアホールディングスの店舗では、調剤を利用する顧客の多くがカルチュア・コンビニエンス・クラブのTカードが提示されている。

 ドラッグストアであれば、多少薬が出来上がるまでに待たされることがあっても、店内の商品を見ていれば、時間があっという間に過ぎる、ということもある。

ウエルシア薬局では、調剤機能を併設したところ、物販の売上げが1000万円から4000万円に増えた店舗も。様々な大衆薬の相談もしやすい雰囲気なのは、調剤併設のドラッグストアのメリットだ。

 とはいえ、調剤の売上が増えてくるまでは、物販の売上に頼ることになる。物販を利用した顧客が店内で調剤をやっていることを認識し、その人が処方箋を持ち込むようになるまでの期間は決して短くはない。それまで、辛抱強く待つことが重要なのだ。

 「スギ薬局」の創業者でスギホールディングスの杉浦広一会長は、自身が薬剤師であり、妻とともに、調剤と大衆薬の販売の機能を持って健康上の相談に乗る店を作った。患者や地域に役立ち、必要な機能を持たせていった結果、調剤併設という現在の店のコンセプトができ上がっていったという。門前薬局に比べれば立地も門前を前提には拡大していなかったので、周囲からは懐疑的な目でみられたこともあった。

 それでも、米国の「ウォルグリーン」や「CVS」、英国の「ブーツ」のような調剤併設で生活に密着したドラッグストアが日本でも普及する時代が来ると確信していたという。

 トモズも設立した当初から、安売りのドラッグストアではなく、医療に力を入れた欧米型の小売店を目指していた。「当時は今ほど院外処方が広まっておらず、処方箋が集まらなくて苦労した。今では門前ではないのに、近隣の医療機関の方が挨拶にやって来るケースが増えて、驚いている」と師岡社長は話す。

 現状ではまだまだ少数派であり、馴染みがなかったり、新しいものと感じたり消費者もいるかもしれない。だが、記者は、調剤併設のドラッグストアについて、どこの商店街にも1つはあった昔ながらの個人経営の薬局の進化形のようなイメージを持っている。働いているスタッフは“雇われ”ではあるが、顧客の薬や健康の相談に乗っている。処方箋を持っていなければ入りにくい作りになっている調剤薬局に比べたら、ドラッグストアはしきいがずっと低い。

 昨年、厚生労働省は、「かかりつけ」という視点を入れて「患者のための薬局ビジョン」を作成した。今年4月に予定されている2年に1回の診療報酬改定では、こうした役割を果たす薬局への報酬が引き上げられる予定だ。医療機関の近くにあるという利便性だけで儲けられる時代は終わった。患者や消費者の身近で役立つ存在として役割を果たす薬局が、これからはもっと増えてくだろう。