旅行者やお盆の帰省客らでにぎわう羽田空港ロビー(写真=Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images)
旅行者やお盆の帰省客らでにぎわう羽田空港ロビー(写真=Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images)

 かつて日航再生に奔走し、今回の指針案の取りまとめにも従事した経営共創基盤の冨山和彦CEO(最高経営責任者)は、かねてから「公的支援を受けた企業が再生後、身軽なコスト体質となって優位に競争を進めるのは自明の理。本来、国の関与そのものは慎重かつ抑制的であるべきだが、主な出資者として関わるとなったら、市場プレーヤーとして徹底的にやるべきだ」と主張してきた。

入札制導入で、自ら成長軌道へ

 冨山氏の持論は官民ファンド、企業再生支援機構(当時)が一気呵成(かせい)に経営改革を完遂して株式を民間に早期売却した時点で、国や所管官庁は日航の経営に過度に関与するべきではないということだ。だとすれば、発着枠に入札制を導入し、純粋な市場メカニズムで配分することは、合理的な政策といえる。

 一方、ANAHDは1月末に発表した2016~20年度のグループ中期経営戦略で“大勝負”に打って出た。収益の柱である全日空の国際線では中南米や中央アジアなど未就航路線への展開を加速するほか、2018年度から欧州エアバスの超大型機「A380」3機を導入し、日航の牙城とされるハワイ路線に切り込む。

 計画期間の5年間で売り上げ規模を全日空の国際線で1.4倍、LCC(格安航空)では3倍以上にそれぞれ増やすとした。羽田発の北米路線も順次拡大する見込みだ。

 常に自力で経営の舵取りをしてきたANAHDからすれば、日航の打ち手が限られているうちに日米航空交渉を優位に進めたいとの思惑もにじむ。だからこそ発着枠の入札制導入は、航空会社が自らの戦略や財務に基づいて成長軌道に乗っていくきっかけとなるだろう。

 つまり日米航空交渉をきっかけとして、政府と航空二強には、市場メカニズムに立脚した政策・経営判断が求められることになる。

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