そもそも電気料金は、電気を作り出す発電料と、それを各家庭に届ける託送料金、広告宣伝などの営業コスト、小売り事業者の利潤――の4要素で構成されている。このうち、発電料と託送料金がコスト全体の9割以上を占める。

 託送料金とは聞き慣れないが、これは昨年12月に経済産業省の認可を受けて決まったもの。地域の電力会社によって1キロワット時当たり7.81円から9.93円と多少の幅がある。新規参入事業者は大手電力会社に託送料金を支払い、各社の送配電網を使わせてもらうことになる。託送料金は、電気料金全体の4割近くを占めることになる。

 果たしてこの価格は適正なのだろうか。

「託送料金」は当面変わらない

 経産省の担当者は託送料金についてこう説明する。

 「電力会社が提出したコスト構造に関する資料を基に、適正な金額を判断した。原子力発電所の稼働停止で発電コストが高まる中、必要な送配電網の改修を後ろ倒しにしている会社も多い。今の水準以上に託送料金を下げれば、断線などのトラブルが発生し、安定供給に支障が出るかもしれない」

 原発再稼働がなかなか進まない今の状況下では、電力会社の収益構造は当面、大きく改善されない。つまり託送料金はほとんど変わらない状況が続くことになる。

 実は、4月の電力小売り全面自由化は、政府が描くエネルギーシステム改革の最終段階ではない。次のステップとして、2020年度中に電力会社内の発電部門と送電部門を切り分ける「発送電分離」が行われる計画になっている。

 両者が分離されれば、電力会社の発電部門も送電部門に対し、託送料金を支払わないといけなくなるため、価格引き下げのインセンティブが働くとの狙いがある。

 が、発電会社と送電会社は資本まで分割するのか、あくまで機能の分担に留めるのかという点に関して現時点ではまだ決まっていない。発送電分離が表面的な形だけで終わってしまう懸念はぬぐい去れていない。

 電気料金のもうひとつの大きなコストである発電料だが、こちらも“いじる”ことが難しい状況にある。そもそも石油元売りなど一部の業種を除き、自前の大型発電所を持っている新規参入事業者は少ない。大手電力会社や卸市場から電気を調達せざるを得ないからだ。

 託送料金と発電料。この2つの要素で今以上に価格を抑えることが難しい以上、新規参入事業者は残りの営業コストと利潤にメスを入れるしかない。