昨年のM-1王者、トレンディエンジェルが場を盛り上げたソフトバンクの記者会見(撮影:的野 弘路)

 今年4月1日に始まる電力小売りの全面自由化。年明け以降、新規参入事業者がこぞってテレビCMを流し始めたこともあり、世間の認知度と期待感は一気に高まってきた。記者の周囲でも「これまでまったく気にしてなかった電気料金の明細をきちんと見るようになった」と話す人が急に増えたように感じる。

 確かに、消費者の立場からは、電気の契約先を自由に選択できるようになるのはありがたい。経済産業省が昨年11月に実施したアンケート調査では、契約先を「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」という回答の比率が23.7%に上った。電気料金がどの程度下がれば電力会社を切り替えるのかという質問に対しては、値下げ幅5%で全体の25%が変更すると回答。10%の値下げでは、この比率が60%に跳ね上がった。

 60%ということは、単純に考えて、3000万世帯以上が一斉に切り替えに動くという計算になる。全面自由化で新たに開放される市場規模は約8兆円とされている。

 巨大市場を取り込もうと、ガス、携帯、石油元売り、鉄道など多くの他業種が小売市場への参入を決めた。家庭向けに電気を販売することができる「小売電気事業者」の登録数は1月18日時点で130社。JXホールディングスやソフトバンクなど一部の事業者はすでに大々的な記者会見を開き、電気料金プランを発表している。

電力事業にかける意気込みを語るソフトバンクの宮内謙・社長兼CEO(撮影:的野 弘路)

 極めて大きな地殻変動が起こりそうだ――。だが、契約先の切り替えで、電気料金は本当はどのくらい下がるのだろうか。

 実は、ネットの価格比較サイトを使えば、おおよその目安を把握することができる。例えば、カカクコムでは自社サイト内で電気料金比較サービスをすでに始めている(こちら)。

 使い方は至ってシンプルだ。まずは住んでいる都道府県を選び、郵便番号を入力。電気の契約種別(料金プラン)、契約容量(アンペア数)、そして世帯数と月間使用量を入力すれば、値下げ幅が大きい順に料金プランを一覧表示してくれる。

 東京電力管内に住んでいる記者の場合、22件分のプランが掲載された。その中には、年間で現在の電気料金より10万円を超える大幅割引を提示したサービスプランがあり、かなりお得になる印象を受けた。

 この結果だけ見ると、「競争の効果はすごい、電気料金が10万円分安くなるのか!」と思ってしまう。しかし、実は電気を作り、ユーザーまで届ける部分のコストには、値下げの余地がほとんどない。