坪内社長は萩以外の地域の活性化策にも積極的に関わっている
坪内社長は萩以外の地域の活性化策にも積極的に関わっている

 坪内氏は直感でこれまでの人生を歩んできたように見えるが、決してそれだけではない。移住し、今や第二の故郷となった萩への深い思いが言葉の端々ににじむ。

 「萩市も隣の長門市も『消滅可能性都市』として名前が挙がりました。こんなに素晴らしい景色なのに。何とか地域を元気にできないかな。困っている人たちを目の当たりにして、何かしたいという気持ちが高まっていきました」

 消滅可能性都市とは、少子化や人口移動に歯止めがかからず、将来消滅の可能性がある自治体。2014年に日本創成会議が打ち出した。

母としての思いも

 このやり取りの中で、坪内氏は母としての思いも込めて話しているのだろうと記者は感じた。坪内氏は現在シングルマザーで、萩で生まれた長男がいる。子供にとっては、萩が唯一の故郷。地元を何とかしたいという思いは人一倍強く、その情熱が、漁業の6次産業化につながる様々なアイデアを生み出したのだろう。

 坪内氏は萩以外の地域も活性化し、地方創生につなげようと奔走している。

 「最近は萩以外の漁業経営にも関わっています。経営コンサルに入ったり、魚を海外に売り込みに行ったり。色々やっていますよ」。北海道や福井県の漁業者の経営を指導し、萩・大島の6次産業化モデルを他の地域でも展開しようとしている。愛媛県では、沿岸で水揚げされた水産物を売り込む地元企業の「海外営業マネージャー」という肩書きも持ち、頻繁に海外出張して販路拡大に奔走している。

 「漁業の他にも海に関わる仕事をしたいなと思うようになりました。いま始めようとしているのが、幾つかの真珠の産地と組んでの6次産業化。魚はあまり食べなくても、真珠なら好きという女性は多いでしょ。こうしてみんなが海に注目してくれれば、海を通して、地域を活性化しようと色々な話が出てくるはず。真珠はまだ試作段階ですが、これからが楽しみです」

 そう話す坪内氏。身に着けていたネックレスとイヤリングには、試作したというその真珠が輝いていた。アクセサリー以外にも、真珠を使った様々な商品がこれから出てくるのかもしれない。

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