2012年12月の第2次安倍政権の発足以降、「政治とカネ」を巡る問題が浮上するたび、首相官邸は政権への打撃を最小限にとどめようとスピード決着を図ってきた。

 2014年10月に当時の小渕優子経済産業相と松島みどり法相をともに辞任させたのはその典型だ。だが、こうした対処とは異なり、今のところ安倍首相は甘利氏を続投させる姿勢を崩していない。

甘利氏を強く慰留した安倍首相

 政府関係者によると、記事が掲載される前の今月19日、国会審議への影響を懸念して辞意を表明した甘利氏を安倍首相が強く慰留したという。

「記事の内容に怪しい部分がある。甘利さんは守れると思う」。安倍首相は親しい関係者にこう漏らしている。

 安倍首相が甘利氏を守り抜こうとしているのは、甘利氏が安倍首相の信頼する盟友であり、アベノミクスのかじ取りを担う政権の屋台骨だからだ。

 甘利氏は第1次安倍政権で経済産業相として入閣。2012年に安倍首相が自民党総裁に返り咲いた総裁選では選対本部長を務めた。

第2次政権の発足以降は経済財政政策を取り仕切り、TPP交渉も担当。文字通り、アベノミクスの司令塔役を任じてきた。2013年末に舌がんの療養を理由に安倍首相に辞意を伝えたが、安倍首相の強い慰留で続投した経緯がある。

 第2次政権発足以降、安倍首相は菅義偉官房長官、麻生太郎副総理・財務相、甘利氏の3閣僚を軸に政権を運営し、基本方針を決めてきた。

 「俺と、菅と、甘利がしっかりしている限り、この政権は大丈夫だ」。麻生氏は親しい自民議員らに時折、そんなセリフを口にしている。

 安倍首相を支えるキーマンの一人である甘利氏が閣外に去れば、安倍政権の生命線であるアベノミクスの推進力に陰りが出るだけでなく、政権内の微妙なパワーバランスに狂いが生じかねない。「今、甘利さんの代わりはいないというのが安倍首相の本音だ」と側近は解説する。