相続やローンの相談などで内容の込み入ったものについては、本部の専門スタッフがテレビ会議でサポートする仕組みを整えた。成約に至って事務処理が必要になった場合にも、同店のマザー拠点である東京・上野の支店などでリモート対応する。

 12月には東京・代々木上原にも同じコンセプトの小型店を開業。すでに同様の店舗を開くのに理想的な立地として約50カ所を選び、今後新規開業を検討していくという。

同店の面積は約54平米。事務スペースは、写真中央のパーティションで囲われた一角のみ
同店の面積は約54平米。事務スペースは、写真中央のパーティションで囲われた一角のみ

 低金利政策が浸透したことで、銀行業界では法人向け融資を中心とした「利ざやで稼ぐ」事業モデルが成立しにくくなっている。そこで各銀行とも期待するのが1800兆円にのぼる個人所有の金融資産。過半が現預金として眠る巨額のお金を銀行経由で投資に振り向けてもらい、手数料収入を底上げする狙いだ。

 だが、その個人向け金融にはフィンテック関連のスタートアップが結集し、旧来の銀行業界にはない柔軟な発想で消費者を取り込みつつある。だからこそ「居心地の良いお店で、安心して、対面で相談に応じてもらえる」という点を、東京スター銀は自身の提供する付加価値として定義し直した形だ。

弁当店や美容室もライバルに

 「実は、物件探しに苦労しているんです」。東京スター銀の越智氏はこぼす。店舗が小さいため、商業施設内に入居しようとすると弁当店や美容室など従来縁遠かった業種と競い合うようになったからだという。

 改革を成し遂げようとすれば、大きいことから小さいことまで様々な試練に直面する。だが、まずは挑戦してみなければ、自らの殻を破ることはできない。

 広さは「1LDK」、アロマ香る銀行――。これが将来の銀行支店のスタンダードにはなるかどうかは、まだ誰もわからない。だが東京スター銀の超小型店への取り組みが、業界にとって大きな意味を持つことだけは間違いない。

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