ドナルド・トランプ新米大統領がトヨタ自動車を狙い撃ちにした。1月5日、ツイッターでトヨタがメキシコに新工場を作ることを批判。「米国に工場を作れ。さもなければ、高い関税を払え」と発信した。これは1月23日号特集「トランプに負けるな!」でも取り上げた。


トヨタにとって、無理難題をふっかけられることは今に始まったことではない。むしろ同社は制約が多い競争環境を望んでいるように見える。その制約が業界にとって、公平であることが条件になるが。
例えば、原油価格は高い方がいいし、燃費規制は厳しい方がいい。安全規制も厳しい方がいいだろう。その方がトヨタの強みを発揮できるからだ。
ハイブリッド車(HV)「プリウス」の売れ行きにそれが端的に表れている。2015年に発売された四代目プリウスの販売が芳しくない。同社はほぼ全量を日本から米国に輸出しているが、日本での増産計画を凍結した模様だ。
クルマそのものの競争力の問題もあるだろうが、売れ行きには原油価格の低迷も影響しているだろう。また世界各地でHVではなく、電気自動車(EV)を後押しする政策があることも見逃せない。
米国最大の自動車市場であるカリフォルニア州では、ZEV規制がエコカーの販売に大きな影響を及ぼしている。
これは自動車メーカーに、販売台数の一定割合を排ガスゼロ車(ZEV)とするよう義務付ける規制だ。実質的にEVの優遇策となっており、HVの存在感が小さくなっている。
プリウスの飛躍を決定づけた2代目は発売が2003年。原油価格の上昇と共に販売が急増した。
1997年に各国ごとにCO2削減目標を定めた京都議定書が採択され、2000年代は世界各地で燃費規制が導入され始めた時期とも重なる。
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