「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」

撮影: Alex Wong

 12時過ぎ、トランプ新大統領の就任演説が始まる。米国民の融和を推し進めるような内容が期待されたがそれほどではなく、エスタブリッシュメント(主流派)批判や国境の強化、雇用の回復など、白人労働者層にフォーカスしていた選挙期間中と同様の主張だった。語り口こそ穏やかだが、イスラム過激派の根絶を訴えたように、就任式スピーチということを考えるとはかなり過激。「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」という言葉を改めて聞いて暗澹たる気持ちになる。少なくとも、米国外で広がる不安を打ち消すようなものではない。

演説と同時刻、14st. 騒然

 トランプ氏の演説とほぼ同時刻、14ストリート北側の手荷物検査で抗議活動を続けていた環境保護グループと警官の小競り合いが始まる。ノースダコタ州からイリノイ州までをつなぐ石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設反対を訴えるグループ。警官が女性を引き足したのを機にヒートアップ、そばで抗議活動をしていた他のグループも加わり騒然となる。騒動のきっかけを作った女性は後ろの方にいた仲間とハイタッチしていた。

"Make Russia Great Again"

 ロシア国歌とともに行進する反トランプ・反プーチンのデモ隊。一瞬、笑いが起きたが、今後のロシアディールを考えると、プラカードにある"Make Russia Great Again"もシャレではすまないかもしれない。

抗議は総じて平和的

 そして、先ほどの環境保護団体が人間の壁を作り、パレード会場への入り口を封鎖し始める。「お前らじゃまだ」というトランプ支持者の怒声。その後、再び警官との小競り合いが発生した。周囲の野次馬は皆動画を撮っているので、こういった暴動はすぐさまSNSでシェアされる。もっとも、窓を割られたスターバックスや高級車の破壊などがメディアではクローズアップされるが、総じて抗議団体の活動は平和的だったように感じる。

トランプは変わっていない

撮影: The Washington Post

 通りを進むパレードの車列。手荷物検査所でブロックされたため中には入れなかったが、支持者と同じくらい反対派がいた模様。少なくとも分かったのは(分かってはいたけれども)、新大統領は選挙期間中のトランプ候補と何も変わっていないということ。米国第一主義というスローガンの下、米国が世界の相互利益よりも自国を優先するということが改めて確認できたこと。そして、米国が内向きになる新しい時代に我々は対応しなければならないということ。それだけでも収穫があった。