米フェイスブックが開発する囲碁AI「ダークフォレスト」

 米フェイスブックが3月、日本で開催される囲碁の人工知能(AI)の強さを競う大会「UEC杯コンピュータ囲碁大会」に参加することが明らかになった。ソフト名は「ダークフォレスト(darkforest)」。フェイスブックが囲碁AI開発への参入を発表したのは、昨年11月。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術を組み込んで急速に棋力を伸ばしており、既にアマチュア6段程度のレベルに達していると見られる。

 UEC杯は3月19日と20日に、電気通信大学で開催される。上位2ソフトはその後、同23日に開催される「電聖戦」でプロ棋士の小林光一・九段(名誉棋聖・名誉名人・名誉碁聖)にハンデ戦で挑戦することになる。

 チェスでは、1997年に米IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」が、世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏を破った。将棋ではここ数年、将棋AIが「電王戦」という場でトップ棋士に勝ち越せるまでに強くなっており、情報処理学会は昨年10月に「コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言」を出した。

 いずれも欧米と日本において「知性の象徴」とされてきたゲームで、AIが人間を凌駕したのである。さらに難易度の高い囲碁の攻略は、人工知能研究者にとって、ゲーム分野における最後の「グランドチャレンジ(大いなる挑戦)」だ。フェイスブックの研究者は囲碁AIに関する論文の中で、「古代から続く囲碁というゲームで人間のトッププレーヤーと戦うことは、人工知能において長期的なゴールだった」と述べている。グーグルの研究者も昨年11月、「囲碁に関してかなり大きな驚きとなる発表を行うだろう」と語っている。

 囲碁は世界中ほぼ同一ルールで普及しており、AI開発においてもチェスや将棋と同じぐらいの歴史がある。ところが、囲碁AIのみがアマ6段レベルにとどまってきた。盤面が他のゲームに比べて広く、コンピュータでも計算しきれないためだ。

「人間超え」は時間の問題

 では、「囲碁AIはいずれ人間を凌駕するのか」?

 答えは明らかだ。記者はチェスも将棋も囲碁もかじったことがありトッププレーヤーの才能と努力には大きな尊敬の念を抱いている。だが、客観的に見て、AIが人間を超えるのは「時間の問題に過ぎない」というほかない。

 囲碁や将棋、チェスのようなゲームは「2人完全情報確定ゼロ和ゲーム」と呼ばれる。「2人でプレー」「相手の手が見えている(完全情報)」「(サイコロのように)不確定な要素がない」「勝敗がつく(ゼロ和)」という意味だ。20世紀最大の数学者とも呼ばれる、ジョン・フォン・ノイマン氏はこの種のゲームには必勝法があることを証明している。